技術を身につけたいと考えたとき、まず気になるのは学ぶ期間の生活費です。学校に通う道を選べば受講料がかかり、その間の収入が途絶えることもあります。
「給料をもらいながら資格を取りたい」という希望をかなえる道は、実際には複数あります。ただし制度ごとに、受け取れるお金の種類や、学べる内容は異なります。給付金と給与は別のものであり、資格取得の支援と技術研修も分けて考える必要があります。
この記事では、収入を確保しながら技術や資格を目指す道を、費用・期間・受け取れるお金の3点で整理してお伝えします。あわせて、資格を先に取る進め方と、実務で技術を積んでから受験する進め方の違いにも触れます。
※本記事に記載されている労働関係法令や各種制度に関する内容は、記事執筆時点での一般的な情報です。実際の労働条件や契約内容は、就業先の企業や派遣会社によって異なります。詳細は最新の募集要項をご確認ください。
目次
収入を確保しながら学ぶ道は3つに分かれる
「給料をもらいながら」という言葉でまとめられている道には、性質の違う3つの仕組みが含まれます。まずこの区別をつけると、自分に当てはまるものが決まります。
給付金と給与は同じものではない
国が用意している制度には「ハロートレーニング」があります。その中の一つで、雇用保険を受給できない方を対象とした国の「求職者支援制度」では、無料の職業訓練と就職支援を受けることができます。さらに「本人収入が8万円以下」「世帯の金融資産が300万円以下」などの要件を満たせば、職業訓練受講給付金の支給を受けることもできます(給付金の対象外であっても訓練の受講は可能です)。
この制度は無料で学べる点が特徴ですが、受け取るのは要件を満たした場合の給付金であり、雇用契約に基づく給与ではありません。訓練を終えた後の就職活動は自分で進めます。
職業訓練にはどんなコースがあるか先に確認する
ハロートレーニングには、事務系から機械系まで複数の分野のコースがあります。希望する分野のコースが自分の通える範囲で開講されているかは、時期によって変わります。応募を考える段階で、開講予定と定員を確認しておく必要があります。

「資格を取る」と「技術を身につける」は目的が違う
求人票で目にする資格取得支援と、技術を学ぶ研修は、同じ枠でまとめられていることがあります。しかし2つは目的が異なるため、分けて確認する必要があります。
資格取得支援は受験にかかる負担を軽くする制度
資格取得支援は、受験料や講習の費用を会社が負担したり、受験日を勤務として扱ったりする制度です。フォークリフトの運転技能講習のように、業務にあたって法令で受講が必要な講習がこれに含まれます。この制度の目的は、必要な知識や技能を身につけ、業務に携わる要件を満たせるようにすることです。
技術研修は現場で使う手順と判断を身につける機会
技術研修は、実機(実際の機械)を使いながら点検や修理の手順を身につける内容です。資格の有無ではなく、現場で作業ができる状態を目指します。
機械の保全は、国が定める技能検定の職種の一つです。知識や技術を身につけてから資格取得を目指す流れとなるため、資格を取ってから業務に携わるケースとは順番が逆になります。
資格がない状態からの進み方は機械保全は資格なしでもできる?未経験からプロになるためのロードマップで確認できます。
給与を受け取りながら技術を学べる「実務×スクール育成制度」
エー・オー・シー(以下、当社)が育成しているのは、工場の機械や設備を点検・修理する保全エンジニアです。入社後すぐに現場に配属されるのではなく、給与を受け取りながら実機を使って実践的な技術を学べる独自の育成制度を、当社では「実務×スクール育成制度」と呼んでいます。
当社の正社員として入社後、実機(実際の機械)を使った研修を経て技術を習得し、エンジニアとして長く活躍できるキャリアを目指せます。学校に通ってお金を払って学ぶ形ではないため、受講料の負担が生じません。
研修は1.5ヶ月、期間中も給与が支払われる
当社では「AOCテクニカルセンター(ATC)」を石川、福井、富山、愛知の4拠点に設置しています。研修期間は1.5ヶ月で、電気の基礎、機械の基礎、そして各拠点の専門技術を順番に学ぶ内容です。当社の正社員として入社するため、この期間中も給与が支払われます。
少人数制のため講師が寄り添って指導し、機械に触れた経験がない状態からでも順を追って技術を積み上げられます。
研修は機械保全技能士2級相当の技術習得を目指す内容
ATCの研修は、機械保全技能士2級相当の技術習得を目指すカリキュラムです。受験対策そのものを目的とした講座ではありませんが、必要な知識と技術を段階的に学べます。
研修で扱うのは、リレーの接点や配線図の読み方を学んで設備が止まった原因を見つけて直す有接点シーケンス制御の技術、半導体製造に使う真空装置の点検や部品交換の技術、歯車やベルトなどの部品を分解・組み立て・調整する機械調整の技術です。
業界をまたいで活かせる技術を持つ「クロスオーバーエンジニア」
さまざまな業界で活躍できる保全エンジニアを、当社では「クロスオーバーエンジニア」と呼んでいます。半導体、医薬品、繊維、自動車部品など、業界によって扱う機械は異なりますが、点検や修理の基本的な技術は共通している部分が多くあります。
給与を受け取りながら学ぶ道の詳細は働きながら学ぶエンジニア転職!未経験から収入を得つつ技術を習得する選択肢でも紹介しています。

3つの道を選ぶときに見る2つの判断材料
学ぶ期間の生活費をどう賄うかで絞り込む
貯金を取り崩さずに学びたい場合、雇用契約に基づいて給与を受け取れる形が当てはまります。要件を満たせば給付金を受けながら国の訓練を受ける道もありますが、金額と支給の要件を事前に確認しておく必要があります。
学んだ後に働く場所が決まっているかで絞り込む
国の訓練やお金を払って通う学校では、修了後の就職活動を自分で進めます。正社員として入社してから研修を受ける形では、研修後の配属先が用意されています。学び終えた後の進み方まで含めて比べると判断しやすくなります。学ぶ前の比較軸は設備保全をスクールで学ぶ前に!未経験から技術を身につける方法と失敗しない選び方で確認できます。
入社後に資格を目指すなら実務の経験を先に積む
技能検定には実際に作業を行う試験が含まれるため、机の上の勉強だけでは対応しづらい部分があります。現場で設備に触れた経験があると、試験で問われる内容が具体的に理解できます。
実務で扱った設備が試験の内容と重なる
点検の手順、部品の測り方、工具の扱い方は、日々の業務に直結する内容です。業務を通じて実技に慣れていれば、受験の準備は知識の整理に絞れます。技術を身につける順番として、先に現場を経験する形は理にかなっています。
給与を受け取りながら技術を積む働き方はスキルなしから手に職をつける方法!給料をもらいながら学べる保全エンジニアの働き方でも紹介しています。
電気系の技能検定も同じ分野の中にある
機械の保全に加えて、制御の分野にも技能検定の職種があります。設備が止まった原因を配線図から追う作業に慣れていれば、この分野の内容も業務と重なります。
費用をかけずに学ぶ道を選ぶときの3つの注意点
1. 給付金は受け取れる金額と支給の要件を先に確認する
給付金には収入や資産に関する要件があります。要件を満たさない場合は訓練の受講のみとなるため、学ぶ期間の生活費を別に用意する必要があります。応募前に金額と要件を確認しておきます。
2. 「無料」の中身が何を指すか確認する
受講料が無料の訓練でも、テキスト代や通学の交通費は自己負担になる場合があります。求人や案内に書かれた「無料」がどこまでを含むのかを確かめます。
3. 学び終えた後に働く場所が決まるかを確認する
学ぶ費用を抑えられても、修了後の就職活動に時間がかかれば収入のない期間は延びます。研修後の配属先が用意されている形と、修了後に自分で探す形では、生活の見通しが変わります。20代からの進め方は20代スキルなし転職の正解!給与をもらいながら保全エンジニアになる方法で紹介しています。
給料をもらいながら資格や技術を目指すことに関するよくある質問
Q1. ATCの研修期間中の給与はどれくらい支払われますか?
当社の正社員として入社するため、1.5ヶ月の研修期間中も給与が支払われます。具体的な金額は募集要項に記載されているため、応募の際にご確認ください。
Q2. ATCの研修を受ければ機械保全技能士の資格が取れますか?
ATCの研修は機械保全技能士2級相当の技術習得を目指す内容です。受験対策そのものを目的とした講座ではありませんが、受験に向けて必要な知識と技術を段階的に学べます。
Q3. 国の職業訓練と当社の研修はどちらが良いですか?
どちらにも良い点があります。国の訓練は費用がかからず幅広い分野から選べます。当社の研修は正社員として入社するため給与を受け取りながら学べ、研修後の配属先が用意されています。学ぶ期間の生活費と、修了後の進み方の2点で比べるのが実用的です。
Q4. 資格を持っていないと応募できませんか?
入社の時点で機械保全に関する資格を持っていなくても応募できます。当社では、応募者が過去の困難にどう対処したかや、どのような姿勢で業務に取り組むのかを重視しています。
Q5. 働きながら別の資格の勉強もできますか?
配属先の勤務体制によって、資格の勉強に充てられる時間は変わります。交代制勤務の場合は日中の時間を使える日もあるため、勤務体制を面談で確認したうえで計画を立てるのが現実的です。
Q6. 文系の学校を卒業していても技術は身につきますか?
身につきます。研修は工具の使い方や回路図の見方といった基本から始まる内容です。文系出身の方の転職についてはエンジニアは文系未経験者でも転職可能!向いている人の特徴と成功方法で紹介しています。
Q7. ATCの研修を終えてすぐに技能検定を受けられますか?
技能検定には職種ごとに受検資格の要件があり、実務経験の年数が問われる級もあります。受検の時期は、配属後に実務を積みながら担当者と相談して決めるのが現実的です。
Q8. 機械系と電気系のどちらから学ぶとよいですか?
ATCの研修では電気の基礎と機械の基礎を順番に学びます。どちらか一方を選ぶ形ではなく、設備を扱うために両方の基本を身につける組み立てです。
Q9. 在職中でも応募の相談はできますか?
相談できます。希望する入社時期については、面談時に相談することができます。
まとめ|給付金と給与、資格と技術を分けて比べる
収入を確保しながら学ぶ道は、国の職業訓練、在職中の資格取得支援、正社員として入社してから研修を受ける形の3つに分かれます。受け取れるお金が給付金か給与か、身につくものが資格か技術かで、選ぶ基準が変わります。
絞り込むときの判断材料は2つです。1つは学ぶ期間の生活費をどう賄うかで、雇用契約に基づく給与を受け取れる形であれば貯金を取り崩さずに進められます。もう1つは学び終えた後に働く場所が決まるかどうかで、研修後の配属先が用意されている形と、修了後に自分で探す形では収入のない期間の長さが変わります。
資格を先に取るか、実務で技術を積んでから受験するかという順番も判断の分かれ目です。技能検定には実際に作業を行う試験が含まれるため、現場で設備に触れた経験が受験の準備にそのまま活きます。
当社の正社員として入社後、実機(実際の機械)を使った研修を経て技術を習得し、エンジニアとして長く活躍できるキャリアを目指せます。当社が提示する働き方について、さらに詳しく知りたい方は下記のクロスオーバーエンジニア専用ページからご確認ください。
未経験からこの仕事に就いた方の歩みを、約1分の動画にまとめました。

