この記事では、半導体産業を支える専門職の役割や、未経験からでも挑戦できる「保全エンジニア」を目指すための具体的な方法、そして安心して長く働くための当社の取り組みについて分かりやすくご紹介します。
※本記事に記載されている労働関係法令や各種制度に関する内容は、記事執筆時点での一般的な情報です。実際の労働条件や契約内容は、就業先の企業や派遣会社によって異なります。詳細は最新の募集要項をご確認ください。
目次
石川県の半導体産業の活況と「半導体エンジニア」の専門性
現在の国内の労働市場は、少子高齢化による生産年齢人口の減少という課題に直面しています。石川県においても労働力不足は産業界全体に波及しています。石川労働局が公表した雇用失業情勢の統計データによれば、令和8年(2026年)3月時点の石川県の有効求人倍率(季節調整値)は1.43倍です。
企業からの求人数が仕事を探す求職者数を上回る状態が継続しています。この労働力需要が高い状態に加え、石川県内では国の支援を受けた先端産業の生産体制の強化が進められています。
経済産業省は半導体サプライチェーンを安定させる目的で、複数の関連企業に対し国内投資促進事業費補助金を交付しています。石川県能美市に生産拠点を置く加賀東芝エレクトロニクス株式会社は、パワー半導体製造工場の新設等に向け、大規模な設備投資を実施しています。
(令和8年3月時点)
(投資額・令和5年発表時点)
(投資額・令和5年発表時点)
出典)最近の雇用失業情勢 令和8年3月分 – 石川労働局
出典)北陸の投資拡大の現状 – 北陸経済連合会
出典)加賀東芝エレクトロニクスおよび…- 東芝デバイス&ストレージ株式会社
半導体エンジニアのなかの役割と担当分野の違い
半導体分野の職種と聞くと、どのような仕事を想像するでしょうか。製造業における半導体の分野には異なる重要な役割があります。
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)によると、「半導体エンジニア」に関わる職種は主に「半導体技術者」と「半導体製造」に分かれます。
「半導体技術者」は、半導体デバイスの回路設計や検証を行うほか、製造工程の設計・構築、品質の向上、生産効率の改善などを行う職種です。これには回路設計を行うエンジニアや、効率的な量産に向けて製造設備の導入や管理を行う技術者が含まれます。高度な専門知識が背景にあるケースが多く、設計、製造、装置、材料、検査など幅広い専門技術の領域が存在します。
一方で「半導体製造」の仕事は、主に半導体の製造工程において、仕様書やマニュアルの操作手順に沿って設備や装置、機械を操作・監視する業務が中心です。こちらはあらかじめ高度な専門知識を修得していなくても、着実に業務に慣れていくことが可能とされています。
出典)半導体技術者 – 職業情報提供サイト
出典)半導体製造 – 職業情報提供サイト
その相談先であり、半導体工場のなかで生産設備の保全を専門に行うのが「保全エンジニア」です。
どれだけ設備が進化しても、機械は自律的に故障を修復できないため、人間の手によるメンテナンス(点検や修理)を必要とするからです。つくる役割の「半導体製造」には事前の専門知識が必要とされる一方で、それを支える「保全エンジニア」は、未経験からでも段階的に技術を身につけて挑戦できる職種です。
現在、労働市場全体で経験者の採用が難しくなっていることから、企業側は未経験者を採用し、段階的に育てていく方針をとっています。そのため、意欲があれば事前の特別な知識がなくても半導体分野へ挑戦できる環境が整っています。
AI時代に需要が期待できる、実際に機械を修理・調整する技術(設備保全)
近年、AIの発達によってソフトウェア上の業務は変化していますが、設備保全の仕事は、実際の機械や設備に触れる仕事です。機械を目で見たり、稼働中の音や振動を感じ取ったりしながら、工具を使って部品の交換や調整を行うなど、実際に機械を修理・調整する技術分野です。工場などの管理を自動化する動きはありますが、実際の点検や修理においては、人の手による判断が必要な部分が多くあります。
工場の自動化が進むほど、それらの設備を維持・管理する保全エンジニアの需要も高まります。機械は自律的に故障を修復できないため、人間の手によるメンテナンスを必要とするからです。機械や設備を点検・修理する技術は、将来にわたって活かせる代わりのきかない専門的なスキルです。
半導体製造を支える保全エンジニアの具体的な仕事内容と必要とされる技術
半導体工場の生産ラインにおける設備保全業務は、精密機器が安定稼働し続けるために必要な仕事です。その業務内容は、機械設備の劣化を予防する「予防保全」と、突発的な故障に際して機能を回復させる「事後保全」に分かれます。
予防保全は、日常点検や定期点検が主な業務です。現場のパトロールを通じて、機械が発する異常な振動や音、温度上昇、潤滑油の漏れなどを五感と計測器を用いて確認します。
事後保全は、設備が停止した際に機械図面や電気回路図を確認し、トラブルの原因を特定して部品の交換や再発防止策を実行します。現場で必要となる技術は、基礎的な知識から着実に習得していく段階を経て身につけることができます。
出典)機械保全技能検定 試験科目及びその範囲並びにその細目 2級
半導体製造で重要な役割を担う「真空装置」の取り扱い
半導体デバイスは大変微細な加工を要するため、製造工程は塵や不純物を排除した環境で行われます。これらを製造するために用いられるのが「真空装置」です。プラズマCVDによる薄膜形成や、ドライエッチングによる微細パターンの形成は、制御された真空チャンバー内で行われます。真空装置の取り扱いは特別な技術として位置づけられます。具体的な業務としては、製造工程開始前のチャンバーの立ち上げ作業、ドライポンプの稼働確認、そして特殊なシール材の定期交換などが挙げられます。
また、専用の質量分析計を用いたヘリウムリークチェックと呼ばれる検査作業も行います。これらの作業は、防塵服を着用したクリーンルーム内において、発塵防止の規定に従って行われます。
未経験から半導体の保全エンジニアになるための選択肢と働き方
設備保全に関する技術は、専門的な機材を使用しない独学のみで習得することは難しいのが現状です。未経験者が知識と技能を習得し、就業に至るまでには、主に「民間教育機関の利用」「公的職業訓練の受講」そして「雇用されながら学ぶ制度の活用」という方法があります。それぞれの特徴を把握することが、状況に合わせた進路を選ぶことに役立ちます。
民間教育機関は、特定の技術分野を集中的に学ぶことができます。学習の目的に応じてカリキュラムを選択できる柔軟性がある一方で、受講費用が高額になるケースがあり、資金的な準備が必要となります。
国や都道府県が支援する公的職業訓練(ハロートレーニング)は、希望する就職に向けた公的な制度です。雇用保険を受給できない方を対象とした国の「求職者支援制度」では、無料の職業訓練と就職支援が受けられます。さらに「本人収入が8万円以下」「世帯の金融資産が300万円以下」などの要件を満たせば、職業訓練受講給付金の支給も受けられます(給付金の対象外であっても訓練の受講は可能です)。
公的職業訓練の受講料は原則無料であり、条件を満たせば訓練期間中の手当を受給しながら学ぶことができます。ポリテクセンター等では電気設備や機械に関するコースなどが設定されており、再就職支援が行われています。
出典)職業訓練(ハロートレーニング)とは?…-厚生労働省
出典)就職のために…ハロートレーニング – 厚生労働省
当社正社員としての雇用の安定と地域に根差した安心感について
上記の一般的な学習ルートに加え、当社が提示する選択肢として「企業に雇用されながら給与を得て学ぶ」という働き方があります。
未経験から技術を習得するための手段として、給与をもらいながら専門的な研修を受けられる制度があり、当社ではこれを独自の呼び方として『実務×スクール育成制度』と呼んでいます。この制度の経済的なメリットは、学習期間中であっても給与が支払われる点にあります。技術の習得には相応の時間が必要となりますが、この制度を活用することで、生活費の負担を抑えながら学習に専念できる環境が整います。
これは、当社の正社員として入社し、ATCという研修施設で技術を習得し、長く活躍できるキャリアを目指せる働き方です。当社は雇用の安定を方針として掲げており、技術者が着実にキャリアを積める環境を提供しています。
当社「AOCテクニカルセンター(ATC)」による実践的な研修について
当社では、半導体や医薬品、自動車部品など地域ごとに異なる産業特性に合わせ、現場で即戦力となる技術者の育成を目的とした専用施設「AOCテクニカルセンター(ATC)」を石川、福井、富山の各県に設置しており、現在、愛知エリアにも研修施設の増設を予定しています。
一般的な新人研修が短期間の座学で終了するケースもある中、ATCでは数ヶ月の実践的な研修を実施しています。主な特徴は、実際の製造現場で稼働している設備と同じ実機(実際の機械)を使用した訓練環境を備えている点です。

有接点シーケンス制御
リレーやタイマーなどの接点部品を組み合わせて、機械の動作順序を自動制御する技術です。自己保持回路などの配線作業を通じて、電気の流れを順序立てて把握する能力を養います。
真空装置の取り扱いとメンテナンス
実際の工程チャンバーを用いた昇温・降温操作、真空引きの工程、および配管やポンプの分解・交換作業を実施します。
メカトロ訓練装置を用いた機械調整
ベルトコンベヤなどの機械要素を対象に、部品図面に基づいた組み立て、適切な張力の調整などを反復学習します。
「クロスオーバーエンジニア」としてのキャリア形成
さまざまな業界で活躍できるエンジニアを、当社では『クロスオーバーエンジニア』と呼んでいます。ATCで習得する電気回路の読解力、計測器を用いた故障診断手法、および工具の正確な使用技術は、半導体産業の中だけで完結するものではありません。
これらの技術は、自動車部品の製造機械や医薬品の分析装置、あるいは食品加工設備のメンテナンスにおいても共通して必要とされます。まずは半導体産業で設備の保全経験を積み、将来的に様々な業界で長期にわたり活かせるキャリアを築き上げることも可能となります。
当社では、未経験からでも段階的に技術を身につけ、現場で活躍できるエンジニアの育成に取り組んでいます。当社の研修内容や具体的なキャリアの流れについては、以下のページにてご確認いただくことができます。
未経験から目指す、新しいキャリアの可能性
- 当社独自の「実務×スクール育成制度」で、給与をもらいながら学べる
- AOCの正社員として、雇用の安定を方針とした働き方
- 文系・異業種出身者も、数ヶ月の実践研修で着実に成長
当社では、未経験からでも段階的に技術を身につけ、現場で活躍できるエンジニアの育成に取り組んでいます。当社の研修内容や具体的なキャリアの流れについては、以下のページにてご確認いただくことができます。
石川県で未経験から半導体の保全エンジニアを目指す方のよくある質問
Q.文系出身や製造業未経験から保全エンジニアを目指せますか?
当社では意欲のある方を歓迎しています。ATCでの基礎からの段階的な研修により、文系出身者や未経験からでも現場で活躍できる保全エンジニアへと成長することが期待できます。研修は、専門用語の解説や工具の正しい持ち方など、業務の基礎となる部分からスタートします。図面の読み方や機械の仕組みについては、実機を触りながら理解を深める反復学習のカリキュラムが組まれているため、着実に技術を身につけていくことが可能です。
Q.研修期間中の収入や生活費の仕組みについては?
ATCにおける数ヶ月間の研修期間中も、労働契約に基づき定められた給与が支給されるため、経済的な負担を抑えながら学習に専念できます。また、就業地域への通勤が困難な方やUIJターンを検討している方に向け、案件によっては生活家電付きの完全個室寮が利用可能な場合があります。敷金や礼金が不要であり、初期費用を抑えられる点は大きな特徴です。
Q.深夜勤務や交替制の勤務の有無について教えてください。
配属先の工場や担当するプロジェクトによって勤務形態は異なりますが、24時間体制で稼働を続ける現場においては、交替勤務が発生する場合があります。この点に関して、労働基準法では、午後10時から翌日午前5時までの時間帯を「深夜業」と定めています。この時間帯における労働に対しては、労働基準法に基づき通常の賃名に対して法令通り25%以上の割増賃金が支払われます。

