工場で働く保全エンジニアは、製造設備を点検して修理する専門の仕事であり、機械の故障を防ぐことで生産ラインを止めない重要な役割を持っています。
具体的には、工場で動くロボットやコンベヤなどの点検と修理を行っており、この記事ではその具体的な仕事内容や、未経験から技術を身につける方法をご紹介します。
※本記事に記載されている労働関係法令や各種制度に関する内容は、記事執筆時点での一般的な情報です。実際の労働条件や契約内容は、就業先の企業や派遣会社によって異なります。詳細は最新の募集要項をご確認ください。
目次
工場の保全エンジニアとは設備の安定した働きを支える専門の仕事
保全エンジニアは、製造現場や物流の拠点で実際に動いている機械の点検や修理を行う大切な仕事です。
厚生労働省のウェブサイトによると、この仕事は機械の故障を防ぐための点検(予防保全)や、不具合が起きた箇所の修理(事後保全)などを行う職種として定義されています。
出典:厚生労働省(job tag)『物流設備管理・保全』
出典:厚生労働省(技のとびら)『機械保全技能士』
もし工場の中で産業用ロボットや物を運ぶ機械が突然止まってしまうと、製品を作る計画が遅れて大きな影響が出てしまいます。
そのため、保全エンジニアはただ壊れたものを直すだけでなく、日々の点検計画を立てて故障を未然に防ぐための専門的な知識が必要です。
常に周囲から頼られながら現場の中心として活躍できる、とても専門的でやりがいのある仕事です。
定期的な「点検」による予防保全とトラブル時の「修理」を行う事後保全
保全エンジニアが行う業務は、大きく分けると2つの種類に分類されます。
一つ目は、定期的な点検をメインに行う予防保全で、機械が故障する前にあらかじめ部品の交換や清掃を行うことでトラブルを未然に防ぎます。
この予防保全をしっかりと行うことによって、突然機械が止まる心配を減らし、工場の生産性を高く保つ効果が期待できます。

二つ目は、トラブルが起きたときの修理をメインに行う事後保全で、機械に不具合が発生した後に素早く修理をして再び動かせる状態に戻します。
すべての設備を事前に毎日点検するのは難しいため、故障したときの影響の大きさに応じて、それぞれの機械に合った保全方法を選ぶ必要があります。
一般的な工場で採用されている設備保全の主な種類と、その特徴を以下の表にまとめました。
保全エンジニアは、予防保全と事後保全の違いを正しく理解し、それぞれの機械に合わせた最適なメンテナンスを実行します。
工場の自動化に伴う保全エンジニアの需要と将来性
現在の製造業では人手不足が大きな課題になっており、厚生労働省の統計によると、新規求人数は高い水準を維持しており、2026年5月時点の製造業の有効求人倍率は約2.16倍を記録しています。
この人手不足を補うために、多くの工場ではロボットを使った自動化が急速に進んでいます。
しかし、どれほど優れた自動化設備であっても、実際に動く部品やセンサーが古くなって劣化することはゼロにできません。
そのため、機械をメンテナンスして安定して動かし続けるための現場での技術の重要性は、今まで以上に高まっています。
自動化が進むほど設備の保全を担う人材が必要になる構造
工場の自動化が進むと、一見すると人がいらなくなるように思えますが、実は機械を直す人材の需要はさらに増える構造です。
これは、手作業を行う人が減る代わりに、工場全体のトラブルが機械や電気によるものへと変化するためです。
需要がさらに増加
このように工場の自動化を進めて現場の作業者を減らすと、逆にロボットなどの機械を直すエンジニアが大勢必要になるという不思議な現象を、当社では独自の定義として「省人化投資のパラドックス」と呼んでいます。
機械の保全は、現場の温度変化や摩擦といった物理的な環境に直接対応する必要があるため、自動化が進むほど、その現場で細かな調整や部品の交換を行う保全エンジニアが重要な役割を担います。
工場の保全エンジニアとして働く上で想定される苦労とやりがい
保全エンジニアは専門性が高い仕事であるため、新しく働き始めるときにはいくつか苦労するポイントがあります。
しかし、その一方で技術を身につけたからこそ得られる大きなやりがいや利点もたくさん存在します。
最初は専門用語や実際の機械の扱いに戸惑うことも少なくない
まったくの未経験からこの仕事を始める場合、最初は専門用語の多さに苦労したり、機械の扱いに戸惑ったりすることがよくあります。
業務の中では、電気の図面記号を読み取ったり、普段は使わない精密な測定器を扱ったりするなど、日常生活では触れることのない特別な知識や技術が必要です。
そのため、実際の機械を目の前にしたときに、図面で勉強した内容と実際の動きがうまく結びつかず、慣れるまでに少し時間を必要とするケースがあります。
また、工場が24時間体制で動いている場合は、夜間に働く交代制勤務が発生することもあります。
しかし、午後10時から翌日の午前5時までの深夜勤務に対しては、法律に基づいて25%以上の割増賃金が支払われます。
さまざまな手当が基本給に加算されるため、生活を支える収入を手当が加算される点が特徴です。
現場から頼られる存在として大きな達成感と働きがいを得られる
最初は覚えることが多くて大変ですが、その壁を乗り越えて経験を積んでいくと、大きなやりがいを感じられます。
特に工場の機械が突然止まってしまったときに、自分の知識を活かして原因を見つけ出し、無事に修理できたときは、現場の作業者や責任者から直接感謝される機会も多いです。
トラブルを素早く解決して周囲から頼られるようになることは、専門職としての大きな自信や成長へとつながります。
さらに、厚生労働省が定める国家検定である「機械保全技能士」などの資格の取得を目指すことで、自分の身につけた技術を社会的に証明することもできます。
この資格は、一度取得すれば将来にわたって長く活躍し続けるための大切な強みです。
未経験から工場の保全エンジニアを目指すための具体的な方法
これまで機械に触れたことがない文系出身の方や、まったくの未経験からでも、保全エンジニアを目指すための具体的な手順を分かりやすく解説します。
製造ラインや接客業などの経験を活かして段階的に学ぶ
実は、これまでに経験してきた様々な仕事での経験は、保全エンジニアとして働く上でとても活かしやすい大切な要素です。
例えば、工場勤務の経験がある方は、工場のルールや安全対策、そして機械が普段どのように動いているかをすでによく知っています。
このような経験をもとに、現場の感覚を大切にしながら、専門技術を少しずつ無理なく身につけることができます。
また、意外かもしれませんが、営業や接客業などで身につけた人と接する能力も、現場で大きな強みです。
保全の仕事では、機械が故障したときに「どんな音がしたか」「いつから動かなくなったか」を現場の作業者に正しく聞き出す必要があるため、親しみやすいコミュニケーション能力がトラブル解決に役立ちます。
実際の機械を用いた実践的な研修制度が整った企業を選ぶ
頭での勉強や教科書での学習だけでは、実際の工具の使い方や機械の扱い方を身につけるのは難しいため、実機(実際の機械)を使った実践的な研修制度が整っている企業を選ぶことが何よりも大切です。
特定の分野に偏らず、さまざまな業界で活躍できる保全エンジニアのことを、当社では「クロスオーバーエンジニア」と呼んでいます。

こうした技術を持つエンジニアをしっかりと育てるため、当社では石川、福井、富山、愛知の4拠点に「AOCテクニカルセンター」という最新の専用研修施設を設けています。
この施設では、実際の製造現場とまったく同じ環境を再現しており、未経験からでもじっくりと専門技術を学ぶことができる1.5ヶ月の長期研修を実施しています。
働きながら技術を習得できる「育成型」という選択肢
未経験から新しい専門技術を学びたいと考えたとき、一般的には高額な受講料を払って専門学校に通うことをイメージするかもしれません。
しかし、企業に雇用されて給与を受け取りながら技術を学ぶという、とても安心できる別の方法もあります。
これを当社では「実務×スクール育成制度」と呼んでいます。
企業側が研修のための費用を全額負担し、さらに最初から労働者としての雇用契約を結ぶため、研修を受けている間も生活費に困ることなく安心して学習に集中できます。
この制度は、当社の正社員として入社し、実機を使っての研修を経て技術を習得し、長く活躍できるキャリアを目指せる働き方です。
多額の出費を心配することなく、毎日の暮らしを守りながら一歩ずつプロを目指せるため、生活基盤を安定させながら専門技術を身につけることにつながります。
当社では、未経験からでも技術を身につけ、現場で活躍できるエンジニアの育成に取り組んでいます。
当社の研修内容や具体的なキャリアの道筋については、以下のページにてご確認いただけます。
工場の保全エンジニアに関するよくある質問
ここからは、保全エンジニアとしての仕事や新しい環境への一歩を踏み出すにあたって、多くの方が抱きやすい疑問について分かりやすくお答えします。
Q.文系出身や業界未経験でも保全エンジニアとして活躍できる?
当社では技術を身につけたいという強い意欲のある方を心から歓迎しており、充実した研修環境が整っている場所を選べば、これまでの専攻に関係なく素晴らしいキャリアを築くことができます。
保全エンジニアに必要な電気や機械の知識は、どれも基礎的な理論から優しく教えてもらえるため、理系でなくても着実に技術を身につけていくことが期待できます。
少しずつ進んでいける段階的なカリキュラムに沿って毎日の学習を重ねていけば、文系出身者であっても困ることなく専門的な技術を身につけていくことが見込まれます。
大切なのは「この機械はどんな仕組みで動いているのだろう」という興味や関心を持ち、実際の機械に触れながら前向きに学んでいこうとする前向きな気持ちです。
Q.研修期間中も給与は支払われる仕組みになっているのか?
技術を学ぶための研修であっても、企業としっかりと雇用契約を結んだ上で参加する場合は、その期間中も給与がきちんと支払われる仕組みになっています。
当社の取り組みを例に見ても、AOCテクニカルセンターで行われる1.5ヶ月の長期研修を受けている間も、給与が支給される安心の仕組みを整えています。
Q.どのような雇用形態で働くことが一般的なのか?
保全エンジニアとして働く方法には、メーカーへの直接雇用や業務請負など、いくつかの異なる形が存在します。
その中でも、当社の正社員として入社し、実機を使っての研修を経て技術を習得し、長く活躍できるキャリアを目指せる働き方があります。
この働き方であれば、もし派遣先での業務が終了して一時的に待機する期間が発生したとしても、当社との雇用関係は常に継続するため、日々の暮らしが安定した収入と生活基盤を築くことにつながります。
さらに、新しい土地で挑戦をスタートしたい方に向けて、生活家電が最初から揃っている完全個室の寮が用意されているお仕事もたくさんあります。
敷金や礼金といった初期費用が不要で、すぐに新しい暮らしを始められるような仕事もあるため、毎日の生活環境を整えながら専門的な技術を身につけることだけに集中できる環境を提供できます。

