具体的には、毎日機械の音や温度を確認したり、古くなった部品を新しいものに交換したりします。このように、保全エンジニアは工場を安定して動かすために欠かせない役割を担っています。
この記事では、保全エンジニアの具体的な仕事内容や将来性をはじめ、向いている人の特徴や未経験から目指すための具体的な方法についてご紹介します。
※本記事に記載されている労働関係法令や各種制度に関する内容は、記事執筆時点での一般的な情報です。実際の労働条件や契約内容は、就業先の企業や派遣会社によって異なります。詳細は最新の募集要項をご確認ください。
目次
保全エンジニアの仕事内容は工場設備の維持とトラブル対応
保全エンジニアとは、工場にある機械や設備が安全に、そして安定して動き続けるように、点検や修理、整備を行う仕事です。
ものを製造したり運んだりする現場において、機械はとても大切なものです。もし機械が故障して止まってしまうと、製品が作れなくなったり、取引先に製品を届けるのが遅れたりしてしまいます。
保全エンジニアは、そうした問題が起きないように工場の安全を守る重要な役割を持っています。IT業界で働くエンジニアが専門の知識が必要であるように、保全エンジニアも機械や電気に関する専門知識と技術が必要です。
設備の安定稼働を守る日常点検と定期的なメンテナンス
保全エンジニアの基本となる仕事は、毎日の点検と計画的なメンテナンスです。工場では、機械がいつも最適な状態で動いているかを確認するために、毎日や毎月といった決まった間隔で点検を行います。
具体的には、メーターが示す数字を確認したり、モーターなどの動く部分から異常な音がしないかを聞き分けたりします。また、決められた基準以上に温度が上がっていないかをチェックするなど、自分の感覚と専用の道具を使って細かく確認します。
最初はこうした点検や機械の掃除といった基本の作業から始めます。そして、設備全体の仕組みや部品の役割を少しずつ覚えながら、担当する範囲や高度なメンテナンスへと仕事の幅を広げていきます。
故障を未然に防ぐ予防保全と発生時の事後保全
保全エンジニアが設備を管理する方法は、大きく「予防保全」と「事後保全」の2つに分かれます。それぞれの違いは以下の表の通りです。
予防保全は、機械が急に止まってしまうことを防ぎます。一方、どれだけ注意していても機械の故障を完全に予測することはできません。急なトラブルが起きたときに行う事後保全も、保全エンジニアの技術が発揮される重要な仕事です。
安全な環境を維持するための部品交換や清掃作業
工場の機械を長く使っていると、部品はどうしても古くなったり、すり減ったりします。保全エンジニアは、機械が完全に止まってしまう前に、適切なタイミングで部品の交換を行います。
この仕事には、数字を確認するだけでなく、体を動かす作業がたくさんあります。例えば、機械の動きを良くするための油さしや、冷却する部分の掃除、すり減った部品の交換などです。
これらの作業を安全に間違いなく行うためには、部品の種類や大きさに合わせた知識が必要です。また、ノギスやトルクレンチといった専用の測定器や工具を使って、ミリ単位で機械を調整する技術を日常的に使います。
保全エンジニアの仕事を選ぶ利点と得られるやりがい
保全エンジニアとして働くことで、長く活かせる技術を身につけたり、現場でやりがいを感じたりすることができます。
AIによる自動化が進んでも代替困難な将来性がある
現在、製造業の現場ではデジタル技術の活用が進んでいます。経済産業省の「2026年版ものづくり白書」によると、従業員規模301人以上の主要な製造企業において、「製造」工程におけるデジタル技術の活用率は50.0%〜65.0%に達しており、工場の自動化や人工知能の利用が増えています。
こうした中で、工場にロボットや自動で動く機械が増えれば増えるほど、その機械を点検し、修理するエンジニアがたくさん必要になるという状況が生まれています。当社ではこの状況を独自の言葉で「省人化投資のパラドックス」と呼んでいます。
人工知能がデータや文章を作るようなコンピューター上で行う業務は自動化の影響を受けやすいのに対し、機械の配線を直したり、すり減った部品を自分の手で交換したりするような作業は、人工知能やロボットが完全に代わりを行うことが難しい分野です。そのため、保全エンジニアの技術は古くなりにくく、将来にわたって役立つと考えられます。
製造業の根幹を支える役割のため雇用の安定が期待できる
日本の経済において、ものづくりを行う製造業はとても大きな産業です。しかし、働く人の数が減っていることや、熟練した技術を持つ人が引退していくことで、技術を次の世代に引き継ぐことが大きな課題となっています。
そのような中で、工場にある高価な機械を正常な状態に保ち、ものづくりを支える保全エンジニアは、どの製造現場でも必要とされる大切な存在です。産業全体を支える役割を持っているため、世の中の景気の変化にも強く、安定して長く働ける働き方です。
トラブルを解決することで現場から頼りにされる
保全エンジニアの仕事は、工場の製品作りの計画を左右する重要な場面に関わります。急に機械が故障したとき、工場で働く人たちは、保全エンジニアの技術を頼りにします。
自分の持っている機械や電気の知識を使って、なぜ故障したのかを見つけ出し、無事に修理を終えて機械が再び動き出した瞬間には、大きな達成感を得ることができます。また、現場で一緒に働く人たちから直接感謝の言葉をかけられる機会も多く、頼りにされているという実感がやりがいにつながる仕事です。
保全エンジニアの仕事で大変なことや乗り越えるべき壁
保全エンジニアの仕事には、未経験から始める際に少し大変に感じる部分もあります。
最初は専門用語や工具の扱いに戸惑うこともある
新しい仕事を始めるとき、最初に着実に乗り越えなければならない壁があります。それは、たくさんの専門用語や、特別な道具の使い方を覚えることです。
例えば、電気について学ぶときは、図面に書かれている記号の意味を理解することから始まります。また、半導体を作る機械の修理などでは、専用の測定器や、金属を加工するための工具を安全に使う必要があります。
最初は見慣れない言葉や道具に戸惑うこともありますが、繰り返し練習し、安全についての教育を受けることで、着実に慣れていくことができます。
予期せぬ設備停止時には迅速で冷静な対応が必要
毎日の点検をしっかり行っていても、機械の故障は予測できないタイミングで急に起こることがあります。トラブルが起きたとき、保全エンジニアには、素早く原因を見つけ出し、修理を終わらせるための判断力と技術が必要です。
機械が止まっている間は製品が作れないため、現場では一刻も早い復旧が望まれます。そのような状況では、予定していた作業が変更になり、一時的に忙しくなるケースがあります。焦ってケガをしたり、機械を壊してしまったりするのを防ぐためには、普段から危険を予測するトレーニングを受け、安全な作業の手順をしっかり身につけておくことが大切です。
保全エンジニアの仕事に向いている人の特徴や活かせる経験
当社では、保全エンジニアとして働く意欲のある方を歓迎しています。現場で活躍することが期待できる人の特徴や、今までの経験をどう活かせるかについて、以下の表にまとめました。
それぞれについて、詳しく説明します。
機械の仕組みやモノづくりに対して興味や関心を持てる人
保全エンジニアに向いている人の特徴の一つは、機械の仕組みに興味を持てることです。「あの機械を直せるようになりたい」「現場で活躍するエンジニアのようになりたい」という具体的な目標を持つことは、技術を学ぶための強い原動力になります。
図面を見ることや、機械がなぜ動かないのかを順序立てて考えることに自分から関心を持てる姿勢は、専門技術を伸ばす上で大きな力になります。
営業や接客業で培った対人の経験や技術を現場の連携に活かせる人
保全エンジニアの仕事は、ただ機械に向き合うだけではありません。機械が故障したとき、実際にその機械を使っていた人からいつ、どんなときに、どんな異常な音がしたかを正確に聞き取ることが、原因を見つけるための第一歩です。
そのため、営業や接客業などの仕事で身につけたコミュニケーションの経験や対人の技術は、製造現場で話を聞き出したり、チームで協力したりする際にとても役に立ちます。今までの経験を活かすことで、現場の人たちと保全チームをつなぐ大切な役割を果たすことができます。
未経験からでも専門技術を学ぶ意欲が高い人
機械の保全の現場では、データを分析するような仕事だけでなく、すり減った部品を交換したり、機械に油をさしたり、工具を使ってネジを締めたりするような、体を動かす作業もたくさんあります。
今の知識や経験に関わらず、こうした基本の作業を含めたすべての専門技術を着実に学ぼうとする姿勢を持つことが大切です。現場の仕事に前向きに取り組み、少しずつ自分の技術を高めていこうとする意欲は、長く活かせる技術を身につけるための大事な条件です。
未経験から保全エンジニアの仕事に就くための具体的な方法
未経験から保全エンジニアを目指すための、具体的な手順や方法について説明します。
製造オペレーターの経験を活かし、段階的に保全技術を学ぶ
すでに工場で製造オペレーターとして働いた経験や、特定の工程を繰り返す業務の経験がある人は、新しい仕事に挑戦する上で有利な点があります。なぜなら、工場での安全な働き方や、基本的なルールをすでに経験として知っているからです。
そうした経験を土台にして、まずは自分が使っている機械の毎日の点検や簡単な掃除から始め、少しずつ機械の仕組みを理解して修理の補助へと仕事の幅を広げていく方法は、着実に技術を身につけるための現実的な道です。
給与をもらいながら学べる育成制度を活用する
未経験から全く新しい専門技術を学ぶとき、民間のスクールなどを利用すると、自分で費用を負担しなければならず、学んでいる間は収入がなくなるという心配があります。
当社では、正社員として入社し、実機(実際の機械)を使っての研修を経て技術を習得し、長く活躍できるキャリアを目指せる働き方を用意しています。入社した段階から給与を受け取りながら技術の習得に専念することができ、これを当社では『実務×スクール育成制度』と呼んでいます。
この制度を活用することで、経済的な不安を感じることなく学習に集中できます。また、さまざまな業界で活躍できるエンジニアを、当社では『クロスオーバーエンジニア』と呼んでおり、幅広い分野で通用する技術者の育成に力を入れています。
実際の現場と同じ実機を使った研修で実践力を身につける
保全エンジニアに必要な専門技術は、教科書を読むだけでは完全に身につきません。実際の機械に触れ、工具を使って練習することが大切です。
当社の研修施設であるAOCテクニカルセンターは、石川、福井、富山、愛知の4拠点にあります。ここでは、1.5ヶ月の長期研修を実施し、実際の機械を使った実践的な個別指導により、現場で活躍できる人材を育てています。
研修では、電気の回路を作って動きを確認する作業や、特殊な装置の取り扱い、そして様々な機械の部品を分解して組み立てる機械調整などを行います。こうした実践的な研修を受けることで、現場に配属された後すぐに役立つ専門技術を身につけることが期待できます。
給与をもらいながら学べる「実務×スクール育成制度」と実践的な研修設備で
あなたのキャリアチェンジをサポートします。
保全エンジニアの仕事に関するよくある質問に回答
保全エンジニアの仕事について、よくある疑問にお答えします。
文系出身や未経験からでも保全エンジニアになれますか?
当社では意欲のある方を歓迎しており、文系出身の方や製造業が未経験の方でも、十分に挑戦できる働き方です。
実際に、当社のAOCテクニカルセンターでの研修を受ける方の多くは文系出身や未経験からスタートしています。研修では、図面の読み方や安全についての基本、ネジの締め方といった基礎から順を追って指導が行われます。そのため、研修を終えた後に現場に配属され、保全の仕事で活躍している実績があります。
保全エンジニアの仕事は夜勤や交代制勤務がありますか?
多くの工場は、製品を効率よく作るために24時間動いています。そのため、工場の状況に合わせて機械を管理する保全エンジニアの働き方には、昼間の勤務に加えて夜勤を含む交代制勤務が存在するケースがあります。
夜間に働く場合の割増賃金については、以下の表の通りです。労働基準法の規定により、深夜の時間帯の労働に対しては割増賃金が支払われる仕組みです。
保全エンジニアとして働き続けるとどうなりますか?
保全エンジニアとしての働き方は、経験と専門技術を積み重ねることで着実に幅が広がっていきます。最初は毎日の点検や部品の交換といった基本の作業から始まりますが、経験を積むことで、より複雑な機械のメンテナンスや、工場全体の計画を立てるリーダーの役割などを任されることが期待できます。

