ITやWeb業界などシステムやプログラムを扱う分野でキャリアを積む中で、自身の将来の方向性や、目に見える「モノづくり」の世界へ関心を抱く方は少なくありません。特に近年は、ITインフラでのシステム構築から、実際の機械や設備を点検・修理するハードウェアの分野(保全エンジニアなど)へ転職するという働き方に注目が集まっています。
本記事では、システムやプログラムの仕事からハードウェアの分野への転職が未経験からでもできる理由や、仕事で使う知識、そして具体的な転職の方法について、公的なデータをもとにお伝えします。
※本記事に記載されている労働関係法令や割増賃金、各種制度に関する内容は、記事執筆時点での一般的な情報です。実際の労働条件や契約内容は、就業先の企業や派遣会社によって異なります。詳細は最新の募集要項をご確認ください。
目次
ソフトウェアからハードウェアへ転職する理由と将来性
AIによる自動化の影響を受けにくい実践的な技術の需要増
近年、機械学習技術などの進化に伴い、ソフトウェア開発やITインフラ運用の現場では、コード生成ツールやテスト自動化が広く普及しています。定型化されたプログラミングやデータ処理といったIT系の業務は効率化が進む一方で、実際の機械や設備を点検・修理するといったハードウェアの分野の価値が改めて見直されています。
国がまとめたものづくりに関する報告書によると、事業環境の不確実性が高まる中、製造業の企業が新しい設備や環境に配慮した取り組みへ投資していくことが重要視されています。工場全体のネットワークをつなぎ、最先端の生産ラインを実際に動かすためには、その基盤となる実際の設備の安定稼働が欠かせません。
特に、石川県および北陸地方は、今まさに半導体産業の再興とも呼べる活況を見せています。国内投資促進事業の一環として国が進める国内への投資を応援する仕組みもあり、北陸エリアでは多くの設備投資が盛んになっています。
最先端の製造現場では、産業用ロボットや精密な真空装置が多く導入されています。工場の自動化が進みロボットが増えるほど、そのロボットをメンテナンスする保全エンジニアという職種の需要も増えていきます。
出典)2025年版ものづくり白書…- 経済産業省
出典) 北陸の投資拡大の現状 – 北陸経済連合会

保全エンジニアが担う実践的な技術は、人間の判断と手先の技術が必要な分野です。将来にわたって安定した需要が見込まれるため、長く活かせるキャリアの一つです。
目に見える実機を扱うやりがいと雇用の安定が期待できる環境
IT系のエンジニアリングはコンピューターシステム環境内で完結することが多いのに対し、設備のメンテナンスといったハードウェアの分野の仕事は、コンピューターや電子機器に対して、工具や測定器を使って直接触れて作業します。
実際の工場設備でトラブルが起きたときに原因をきちんと突き止め、実機(実際の機械)がしっかり動いて生産ラインが元通りになるのを自分の目で確認できるのは、現場に出るエンジニアだからこそ担える重要な役割であり、大きなやりがいでもあります。
成長産業である製造業や半導体産業においては、専門的な技術を持つ人材を長期的に確保するため、雇用の安定を方針として掲げる企業が多くあります。厚生労働省の調査などからも、技術を持った人材が多く必要とされていることが分かります。
モノづくりを支える技術職は、専門的な技術を身につければ、特定の企業に縛られることなく、将来にわたって長く活かすことができます。
ソフトウェアからハードウェアの分野への転職は未経験でも可能
論理的思考やシステム全体の理解などソフトウェアの経験が活きる
実際の機械を扱う仕事への転職を検討する際、「機械に触れた経験がない」「文系出身である」とためらう方も少なくありません。しかし、学ぶ意欲としっかりとした研修環境があれば、未経験からでもハードウェアの分野へ進むことができます。
当社では、応募者の方が過去の困難にどう対処したかや、どのような姿勢で業務に取り組むのかを重視しています 。そのため、仕事への向き合い方や学ぶ意欲も大切な採用基準です。また、ソフトウェアの開発で身につけた「筋道を立てて考える力」や「仕組み全体を把握する力」は、実際の機械を扱う現場でも大きな強みとして活かすことができます。
工場の自動化設備などで広く使われている技術に、「有接点シーケンス制御」があります。これは、機械や設備を電気回路によって、あらかじめ決まった順番通りに自動で動かす技術のことです。
「どの条件が満たされた時に次の動作へ移行するか」という論理回路を構築・理解する流れは、プログラミングでの条件分岐(もし〜なら、という仕組み)と考え方がとてもよく似ています。そのため、機械が止まってしまったときに原因を突き止める作業でも、プログラムの不具合を見つけて直す作業で身につけた「問題を切り分けて考える力」をそのまま応用することができます。
現場で活躍するには機械・電気・制御などの専門知識の習得が必要
論理的思考を活かす一方で、現場で活躍するためには、専門技術を一から学ぶ姿勢が求められます。メンテナンスの現場で必要となる専門技術には、以下の3つが挙げられます。
半導体を作る工程で使われる真空装置のメンテナンスでは、装置の温度を上げ下げする手順や、真空にする操作、特殊な部品(Oリング)の丁寧な交換といった手作業での技術が必要になります 。また、機械調整では、ギヤ(平歯車)の取り付けや、センサーのわずかなズレを直す調整など、手先の感覚を活かした技術が必要です 。
機械の保全については知識だけでなく成果につながる職務行動例が細かく決められています。未経験者は座学だけでなく、実機を用いた反復訓練を通じて、専門知識と技術を段階的に身につけていくことが大切です。
未経験からハードウェアの分野(設備保全等)へ転職する3つのルート
未経験から設備保全などのハードウェアエンジニアを目指す場合、主に3つの方法があります。それぞれの特徴を分かりやすく解説します。
独学や資格の取得を目指して、自分の力で企業に応募する
市販の専門書籍や動画教材等を用いて基礎知識を学び、関連企業への応募を目指す方法です。この過程で、国家資格である「機械保全技能士」の取得を目標とするケースが見られます。
中央職業能力開発協会によれば、令和7年度の技能検定(機械保全職種)の実施結果では、受験申請者数は26,921名に達し、合格率は88.0%でした。この方法は、かかる費用が本代などに抑えられ、今の仕事を続けながら自分のペースで勉強できるのがメリットです。
一方で、独学では実機(実際の機械)に触れる機会が限られるため、実際の産業機械のスケール感や工具を扱う際の力加減が把握しづらく、いざ現場に出たときに戸惑うこともあります。
専門スクールや職業訓練を活用しお金を払って基礎技術を学ぶ
民間の専門スクールや、国が支援する公的な職業訓練(ハロートレーニングなど)を利用し、一定の期間をかけて技術を学ぶ方法です 。民間のスクールに通う場合は、自分でお金を払って学ぶため、受講料の負担が発生します。
公的な職業訓練を利用する場合、雇用保険を受給できない方を対象とした国の「求職者支援制度」では、無料の職業訓練と就職支援が受けられます 。さらに「本人収入が8万円以下」「世帯の金融資産が300万円以下」などの要件を満たせば、職業訓練受講給付金(月額10万円と通所手当など)の支給も受けられます(給付金の対象外であっても訓練の受講は可能です)。
ただし、世帯(家族全員)の収入や資産が基準を超えれば給付金は受給できないため、学習期間の生活費はあらかじめ自分で用意しておく必要があります。
給与をもらいながら実務と研修を両立できる企業へ就職する
正社員として採用され、働きながら自社の施設で仕事に使う技術を学ぶという方法があります。入社したときから契約が結ばれるため給与が支給され、勉強している期間も生活面の心配を減らすことができます。
具体的な選択肢の一つとして、当社が取り組む育成の仕組みをご紹介します。私たちは、特定の業界だけでなく、半導体や自動車、製薬、繊維など様々な分野をまたいで活躍できる技術者のことを『クロスオーバーエンジニア』と呼んでいます。そして、未経験からこうした技術者を育てる仕組みのことを、私たちは独自に『実務×スクール育成制度』と呼んでいます。
当社では「AOCテクニカルセンター(ATC)」の石川、福井、富山、愛知の4拠点で研修を実施しています。ATCでは、実際の製造現場と同じ半導体を作るための真空装置や、電気で機械を動かす有接点シーケンス制御の設備(実機)を導入しています。経験豊かな講師が一人ひとりに寄り添いながら、現場ですぐに役立つ技術を丁寧に教えます。
また、遠方から引っ越して働く方のために、テレビや冷蔵庫、洗濯機などの生活家電がついたワンルームの個室寮を多数用意しています。敷金や礼金が不要で、すぐに入居して働き始められるお仕事もあるため、新生活を始めるときの費用を抑えることができます。
当社の「実務×スクール育成制度」や研修内容の詳細については、以下のページにてご確認いただけます。
正社員で安定した環境を手に入れませんか?
ソフトウェアからハードウェアの業種へ転職する際の企業選びの注意点
異業種への転職において、入社後のミスマッチを防ぐためには、求職者自身が事前に企業の実態を確認することが重要です。
実際の業務内容と配属の透明性を面接や求人票で確認する
求人票ではエンジニア職となっていても、配属先での業務内容が製品の組み立てや加工を直接行う業務である場合もあります。例えば、自動車部品の専用の製造機械を動かす技術しか持っていなければ、将来選べる仕事の幅が狭まってしまうため、これまでにどのような配属実績があるかや、研修が実際の仕事にどう繋がっているかを詳しく確認することが大切です。
派遣という働き方を選ぶ場合、雇用を安定させるための法律の仕組みを知っておくことも大切です。法律による「雇用安定措置(3年ルール)」では、同じ派遣先で3年間働く見込みがあり、その後も続けて働くことを希望する方に対して、派遣会社は次の就業先を紹介するなどの対応を行う義務があります。
仕事に関する情報をきちんとお伝えすること(透明性)は、企業側の責任です。
当社では、入社後も「クロスオーバーエンジニア」としての将来の進み方をはっきりと示しています。そして、研修で身につけた専門技術がしっかりと活かせる現場に配属することで、着実に経験を積んでいける環境を整えています。
座学だけでなく実機(実際の機器)を用いた研修環境があるか見極める
長く安定して働き続けるには、代わりのきかない専門的なスキルが必要です。現場で通用する専門技術を身につけるには、座学だけではなく、実際の工場で使われている自動化設備や半導体を作るための真空装置などを使い、トラブルが起きたときに原因を探して直す作業をどれだけ経験できるかが、技術を早く身につけるための大切なポイントになります。
当社のATC(石川、福井、富山)は、実際の製造現場と同じ装置を使用した研修施設を用意しており、現場に出る前に仕事に直結する練習をしっかりと重ねることができる環境を整えています。
ソフトウェアからハードウェアの業種への転職に関するよくある質問
Q.ITエンジニアと保全エンジニアでは業務内容にどんな違いがありますか?
ITエンジニアは、主にコンピューターシステムやWebアプリケーション等の構築や保守を行います。ネットワーク経由でデータやログを解析して修正を行うのが一般的です。
一方、保全エンジニアは、現場のオペレーター等とコミュニケーションをとりながら、工場等の設備や機械が正常に稼働するためのメンテナンスやトラブル対応を担います。定期的な点検(予防保全)によって異音や摩耗を発見し、機械が停止した場合には現場で修理(事後保全)を行います。
Q.文系出身で理系の知識がなくてもハードウェア業界で通用しますか?
当社では、採用するときや実際の職場で、文系・理系といった学校で何を学んできたかよりも、過去の大変なことにどう対処したかや、新しい技術を学びたいという意欲を重視しています。そのため、未経験の方や文系出身の方であっても、しっかりと現場で活躍することができます。
専門知識は入社後の充実した研修制度を通じて段階的に学ぶことができるため、入社時点での知識の有無がハンデになることはありません。当社が目指すのは、文系出身者や全くの未経験者であっても「実務×スクール育成制度」を経て、現場で頼られる先輩エンジニアを育成することです。
Q.転職活動を始める前に取得しておくべき資格はありますか?
事前に必ず取得しておかなければならない資格はありません。基礎知識があると一定の評価に繋がることは事実ですが、多くの企業では入社後の研修を通じて業務に必要な資格の取得を目指せる支援制度を整えています。
未経験からでも、適切な教育環境と意欲があれば、ハードウェアの業種へのキャリアチェンジは十分目指せます。当社が提供する「クロスオーバーエンジニア」の育成プログラムや、就業に関するご相談については、専用サイトおよびLINE無料相談窓口にてご案内しております。
正社員で安定した環境を手に入れませんか?

