保全エンジニアは、工場で稼働する機械の点検や修理を直接行うため、AIによる自動化が難しい分野の業務を担うからです。本記事では、石川県における保全エンジニアの将来性や、未経験から技術を身につけるための具体的な方法についてお伝えします。
※本記事に記載されている労働関係法令や各種制度に関する内容は、記事執筆時点での一般的な情報です。実際の労働条件や契約内容は、就業先の企業や派遣会社によって異なります。詳細は最新の募集要項をご確認ください。
目次
石川県でAIに代替されにくい製造業の仕事とは?未経験からの将来性
AIやロボットによる設備の自動化が進む製造現場において、人間の手による作業が引き続き必要とされる分野について、具体的な事実に基づき解説します。
AIによる自動化が難しい実際の機械や設備の保全・メンテナンス業務
近年の労働市場において、人工知能やロボティクス技術の発展が既存の職業に大きな影響を及ぼすことが議論されています。国際労働機関(ILO)が発表した調査報告によれば、生成AIの普及により事務職などの一部業務が自動化の影響を受ける可能性が高い一方で、製造業などの多くの職種においては、業務を完全に代替するのではなく、効率化によって人間を補完する効果が高いと推測されています。
製造業の生産現場も省人化と自動化の波を受けています。経済産業省、厚生労働省、文部科学省が共同で編纂した「2025年版ものづくり白書」では、AIやデジタル技術の活用を前提とした成長投資の必要性が提唱されています。同白書は、製造業が産業競争力を維持するためには、設備投資と並行して、その設備を運用・維持する能力開発が重要であると指摘しています。
しかし、製造現場のすべてのプロセスがAIによって無人化されるわけではありません。AIやロボットが稼働するための基盤となる実際の機械や設備そのものを維持管理する保全エンジニアの役割は、AIによる代替が難しい分野として残ります。保全エンジニアの主な業務は、生産設備の日常・定期点検、劣化した消耗部品の交換、機械の清掃・給油といったメンテナンス業務、そして予期せぬ故障が発生した際の修理対応です。
製造現場に導入されたAIがセンサーを通じて設備の異常を検知する予防保全のシステムは広がっています。しかし、実際に異常が検知された後や、機械が停止した後に、工具を用いて機械を分解し、部品を交換して再稼働させる事後保全のプロセスは、人の手による複雑な作業と感覚的な状況判断が必要となります。
- センサーを通じた設備の異常検知
- デジタルデータの収集と解析
- 高度な予測システムの運用
- 異常検知後の工具を用いた機械分解
- 劣化した消耗部品の交換
- 感覚的な状況判断と再稼働対応
工場の自動化が進むほど、それらの設備を維持・管理する保全エンジニアの需要も高まります。機械は自律的に故障を修復できないため、人間の手によるメンテナンスが欠かせません。AIがどれほど高度な予測を行ったとしても、実際の機械の摩耗、断線、油漏れといったトラブルを直接修復することはできないからです。したがって、機械や設備のメンテナンス技術を担うエンジニアは、AI技術の進化と共存しながら長期にわたり活かせる技術を持つ人材と考えられます。
出典) Generative AI and jobs:… – ILO駐日事務所
出典)2025年版ものづくり白書- 経済産業省
石川県の基幹産業である半導体分野における技術者の高い需要
特定の産業が集まる地域においては、保全エンジニアに対する需要が高まる傾向があります。石川県の地域特性を見ると、製造業の中でもとりわけ半導体関連産業や機械工業が基盤を形成しています。石川県が公表している工業統計データによれば、県内の製造品出荷額等の総額は約3兆59億円に上り、その中で「機械」に関する産業が全体の約69.1%を占め、県経済を牽引する産業として機能しています。
この産業基盤を発展させるため、石川県は行政主導で産業成長戦略を展開しており、県内に多数立地している製造業や自動車産業に欠かせないパワー半導体の生産拠点などを中心に、AI・半導体産業の集積を目指す方向性が示されています。

半導体製造産業の拡大は、それに付随する設備メンテナンス技術の需要を押し上げます。半導体の製造プロセスは、クリーンな環境下で微細加工を行うため、真空装置の整備が重要です。現場では、P-CVD(プラズマ化学気相成長)装置、チラーユニット、ドライポンプ、RF電源といった機械や電子機器が稼働しています。
これらの真空装置を安定して稼働させるための保全業務には、装置の立ち上げ・立ち下げ手順の順守、プロセスチャンバーのメンテナンス、He(ヘリウム)リークチェックによるわずかな真空漏れの検知など、専門化された技術が求められます。
これらの作業は、気圧の変動や微細な部品の締結具合といった感覚的な状況判断を伴うため、AIによる自動化が難しい分野です。石川県という半導体産業の集積地において、専門的な保全技術を身につけることは、高い需要を背景にして、将来にわたるキャリア形成につながることが期待できます。
出典)令和2年(2020年)工業統計調査 – いしかわ統計指標ランド
未経験からAIに代替されにくい製造エンジニアを目指すための方法
未経験者が専門的な保全技術を身につけるための具体的なステップや、学習を進める上での考え方について解説します。
製造オペレーターなどの経験をベースに段階的に保全技術を学ぶ
製造業における保全エンジニアの需要は高い状態が続いていますが、その背景には人材不足という要因があります。厚生労働省が公表している「一般職業紹介状況」のデータによると、生産工程や保安といった職業において有効求人倍率が高い水準で推移しており、企業が採用候補者を確保しづらい状態が常態化しています。
製造業は現場への出勤と作業が必要な業務が多く、労働人口の減少の影響を直接的に受けやすい産業です。「2025年版ものづくり白書」でも記されている通り、未経験者に対する就業支援と継続的な能力開発が、日本の製造業の存続を左右する重要なポイントになります。
未経験から保全技術を習得するステップを考える際、過去の経験を活かすことが有効な手段となります。過去に製造オペレーターなどの経験を持つ場合、段階的に保全技術を学ぶという選択肢もあります。
製造現場の基本となる5S+3定(整理・整頓・清掃・清潔・躾、定位置・定品・定量)の概念や、KYT(危険予知トレーニング)、リスクアセスメントといった安全衛生に関する基礎知識は、保全業務においても優先される前提条件です。
また、営業や接客業といった他業種での経験も保全業務に活かせる要素となります。保全エンジニアは機械と向き合うだけでなく、製造ラインの責任者やオペレーターからトラブルの状況をヒアリングし、修理の進捗や再発防止策を報告する報連相のプロセスが求められます。そのため、対人スキルは現場でも強みになり、技術を身につけることと並行して、将来にわたり活かせるスキルを身につけることにつながります。
座学だけでなく実機(実際の機械)を用いた実践的な研修施設でスキルを習得する
保全技術を学ぶにあたり、専門書やマニュアルを用いた座学による知識の吸収は最初のステップです。実際の製造現場で発生する設備の不具合は、理論通りに解決しないケースがあります。予期せぬノイズ、部品の実際の摩耗によるズレ、温度や湿度による微細な変化など、現場特有の不確定要素に対応するためには、紙面上の知識だけでは十分ではありません。
現場で対応できる人材へと成長するためには、実機(実際の機械)に触れ、実践的な研修を受けることが重要です。電気回路の学習においては、記号の意味を覚えるだけでなく、実際にテスターやクランプメーター、メガテスターといった計測器を手に持ち、電流や電圧を測定する感覚を養うプロセスが求められます。配線図を見ながらケーブルを圧着・ハンダ付けし、意図した通りにモーターが駆動するかを確認する経験を通じて、断線やショートといったトラブルに対応できる力が身につきます。
機械要素の調整においても、マイクロメーターやダイヤルゲージといった精密測定器を用いて、ミクロン単位の軸芯ブレや負荷の確認を行う経験は、実機を操作しなければ得られない技術です。このような実践的な訓練環境を提供する施設で学ぶことが、技術者としての基盤を固めるための選択肢となります。
働きながら学べる育成制度を利用して経済的な不安を解消する
未経験から専門的な技術を身につける決意をした求職者が直面する障壁のひとつに、教育期間中における経済的な不安があります。異業種への転職を目指す手段として、民間のプログラミングスクールやITスクールが利用されることがあります。しかし、これらの教育機関を利用する場合、お金を払って学ぶケースが多く、学習期間中は経済的な不安を抱きやすいという傾向が見られます。
これに対し当社では、正社員として入社し、毎月の給与を得ながら製造業の保全エンジニア育成の分野の専門的な研修を受けられる仕組みを用意しています。この育成型人材派遣のモデルは、求職者にとって経済的リスクを抑えつつ、キャリア形成の選択肢となる仕組みです。
当社ではこれを「実務×スクール育成制度」と呼んでいます。
企業主導の育成制度を利用することで、求職者は学習期間中の生活費の不安を和らげ、目の前の実機を用いた技術を身につけることに集中することができます。
- 教育機関の利用にはお金を払って学ぶ必要性がある
- 学習期間中の収入確保が課題
- 経済的な不安を抱きやすい傾向
- 毎月の給与を得ながら受講可能
- 企業に直接雇用される仕組み
- 実機を用いた技術習得に集中できる
石川県で未経験から保全技術を身につける当社のキャリア形成支援
前段で解説した解決策を満たす具体例として、当社の取り組みや制度について紹介します。
さまざまな業界で活躍できる「クロスオーバーエンジニア」の育成
石川県を含む北陸エリアにおいて、技術者の育成と雇用の安定に取り組んできた当社は、産業の需要に応じたエンジニア育成の方針を掲げています。さまざまな業界で活躍できるエンジニアを、当社では「クロスオーバーエンジニア」と呼んでいます。
特定のメーカーや産業の専門技術に依存するのではなく、石川県で競争力を持つ半導体製造分野をはじめ、福井県の電子・自動車部品や繊維産業、富山県の医薬品製造分野など、多様な産業基盤に共通して求められる、さまざまな業界で活躍できる技術を身につけることを目標としています。この技術は、不況時や特定産業の稼働停止時においても技術者の就業機会を維持し、長期にわたり活かせる力となります。
働きながら学べる当社独自の育成システム
当社の雇用されながら給与をもらって学べる仕組み「実務×スクール育成制度」の中心となるのが、石川、福井、富山の3拠点に保有する専用の研修施設「AOCテクニカルセンター(ATC)」です。※現在、愛知エリアにも研修施設の増設を予定しています。
一般的な新人研修が短期間で現場に配属されることが多いのに対し、ATCでは約1.5ヶ月という長期間のカリキュラムを編成し、機械保全技能士2級レベル相当の技術習得を目指してマンツーマンでの指導を実施しています。研修内容は、現場で需要が高い以下の3つの分野に特化しています。
有接点シーケンス制御 :工場自動化の基礎となる技術です。リレーの接点と構造から学び、電源回路、自己保持回路、タイマーによる遅延動作回路、フリッカ回路を実際に組み立て、分解、タイミングチャートの作成まで行います。さらに、クランプメーターを用いた測定や、三相モーターの電磁接触器制御回路、インバータ制御回路の作成と電子サーマルの設定を実践し、自動化設備の電気的・機械的な保全の技術を身につけます。
真空装置の取り扱い :石川県の産業である半導体製造に必要な専門技術です。クリーンルームの入室方法や安全教育を前提とし、プロセスチャンバーのメンテナンス、Heリークチェック、真空ポンプや各種配管の交換作業など、付加価値の高い機械や電子機器の分野の実務を実践します。
機械調整 :メカトロ訓練装置を使用し、部品図(投影図・三角法)や空気圧回路図の作図から始めます。チェーン駆動部、ピック・アンド・プレース機構、ベルトコンベヤ、ワーク供給部といった実機の分解・組み立てを行い、バックラッシュの除去やセンサー感度調整、シリンダー速度調整を学習します。
AOCの正社員としての雇用の安定と地域に根差した安心感
AOCの正社員として入社し、多様な製造現場で経験を積みながら技術を習得し、長く活躍できるキャリアを目指せる働き方です。当社では、雇用の安定を方針として掲げる働き方を提供しています。
この働き方の特徴は、約1.5ヶ月におよぶATCでの研修期間中であっても、労働基準法に基づき毎月の給与が継続して支給される点にあります。研修修了後にクライアント企業の現場へ配属された後も、コンプライアンスに則った労務管理が行われます。
UIJターンや遠方からの就業を希望する方に対しては、生活家電付きの完全個室寮(1R・1K)が完備されているような案件もあるため、敷金や礼金が不要で経済的負担を抑えて新生活をスタートさせることが可能です。石川県などのエリアは、同じ収入でも首都圏と比べると生活費の支出が少ない分、自由に使えるお金が多くなります。正社員としての安定性が組み合わさることで、技術を身につけることに対する心理的・経済的な負担を和らげます。
AOCの正社員という安定した働き方の選択肢
- 「AOCの正社員」として、雇用終了の不安がない安定した生活を
- 研修期間中も給与が支払われる安心の雇用体系
- 将来にわたって活かせるスキルを身につけることにつながるサポート
当社では、長く安心して働いていただけるよう、雇用の安定を重視した正社員での採用を行っています。
これからの働き方について、まずは特設サイトにて詳細をご確認ください。
石川県でAIに代替されにくい製造業の仕事に関するよくある質問
保全エンジニアへの就業や研修について、よく寄せられる疑問についてお答えします。
文系出身の未経験者でも保全エンジニアへと成長することは期待できますか?
当社では、理系出身者に限らず、意欲のある方を歓迎しています。文系出身者や製造業が未経験の方からの挑戦を支援しています。専門的な電気回路図の読み方や、見慣れない精密測定器の扱いについて、最初は大変だったり戸惑うこともあったりするのは当然のことです。
しかし、ATCでの研修は、基礎的な安全教育やネジの適切な締め付け方、各種工具の正しい使い方といった初歩的な段階からカリキュラムが組まれています。約1.5月間、実機を用いた反復学習を行うことで、実際の機械に触れる感覚と知識が結びつき、文系出身者であっても段階的に技術を身につけ、現場での活躍を目指せる仕組みとなっています。
IT業界のプログラマーやシステムエンジニアとの違いは何ですか?
IT/Webエンジニアと呼ばれるシステムエンジニアやプログラマーが、プログラミング言語を用いてソフトウェア、アプリケーション、クラウドシステムといった仮想的な分野の構築・運用を担うのに対し、保全エンジニアは、工場の生産ラインや半導体の真空装置といった実際の機械や設備を専門に扱う技術職です。
双方は異なる専門性が求められる職種ですが、保全エンジニアは現場で工具を握り、実際の部品の摩耗や電気回路の断線を修理するといった技術が求められます。この実際に機械を修理・調整する業務の特性が、AI技術やロボットによる完全自動化の対象となりにくい理由であり、長期的にキャリアを築く上での特徴と考えられます。
専門的な研修を受ける際にかかる費用や期間について教えてください。
当社独自の、「実務×スクール育成制度」と呼んでいる仕組みを利用して保全技術を学ぶ場合、受講者が負担する研修費用や設備利用料、テキスト代などは発生しません。研修期間は約1.5ヶ月を予定しており、この期間を通じて専門的な技術を習得します。
さらに、当社ではAOCの正社員として採用を行った上で研修を開始するため、研修を受講している期間中も労働基準法に基づき、毎月の給与が継続して支給される事実があります。これにより、無収入となる期間を回避し、日々の生活を維持しながら技術を身につけることに時間を充てることができます。

