製造業で派遣から正社員を目指すには?メリットやキャリアの選択肢

製造業において派遣社員から正社員を目指すことは、雇用の安定と長期的なキャリア形成を目指すための有力な方法です。

労働力不足が続く製造業では、特定の専門技術を持つ人材の需要が高まっており、企業側も優秀な人材を直接雇用や無期雇用として確保したいという意向を持っています。

例えば、工場の自動化設備をメンテナンスする保全エンジニアのような専門技術を身につけることで、派遣先での直接雇用や、派遣会社での正社員雇用(期間の定めのない雇用契約)へと転換する事例があります。

制度の仕組みや必要な技術を正しく理解し、計画的に行動を起こすことで、将来にわたる雇用の安定に近づくことが期待できます。

※本記事に記載されている労働関係法令や各種制度に関する内容は、記事執筆時点での一般的な情報です。実際の労働条件や契約内容は、就業先の企業や派遣会社によって異なります。詳細は最新の募集要項をご確認ください。

製造業で派遣から正社員を目指す道と基礎知識

製造業において派遣社員から正社員(派遣先企業での直接雇用、または派遣元企業での無期雇用)へと移行するためには、まずは労働者派遣法の仕組みを正しく理解しておくことが大切です。

労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)では、有期雇用の派遣労働者が同一の派遣先企業の組織単位で継続して就業できる期間を、原則として最長3年と定めています。

この規則は一般に「3年ルール(個人単位の期間制限)」と呼ばれており、派遣労働者の固定化を防ぐとともに、直接雇用への道を開くことを目的としています。

この3年という期間制限が満了するにあたり、派遣会社(派遣元事業主)は対象となる派遣労働者に対して「雇用安定措置」を講じる法的な義務を負います。

派遣契約の期間満了後に、派遣先による直接雇用へと移行できる法的な仕組みも整っています。雇用安定措置の対象となるのは、派遣就業の見込みが3年である有期雇用の派遣労働者であり、本人が継続して就業を希望している場合です。

派遣会社が講じるべき雇用安定措置には、具体的に以下の4つの方法が定められています。

派遣会社が講じるべき雇用安定措置(4つの方法)
第1号措置:派遣先への直接雇用の依頼

現在就業している派遣先企業に対し、直接雇用(正社員や契約社員など)に切り替えるよう依頼します。

第2号措置:新たな派遣先の提供

派遣労働者の能力やこれまでの経験に適した、新しい派遣先を提示します。

第3号措置:派遣元での無期雇用

派遣会社において、派遣労働者以外の労働者(自社の正社員等)として無期雇用契約を結びます。

第4号措置:その他安定した雇用の継続を図るための措置

有給の教育訓練の実施や、紹介予定派遣の提供など、将来的な雇用の安定に資する必要な措置を講じます。

出典)派遣労働者の雇用安定措置…|厚生労働省

厚生労働省の調査データによれば、雇用安定措置を講じる際、新たな派遣先の提供(2号措置)へと移行する割合が高く、同一派遣先への直接雇用の依頼(1号措置)に至るケースは少ないのが現状です。

多くの派遣労働者が同一派遣先での直接雇用には至らず、別の就業先へと移動しているケースが多くあります。

しかし、派遣先企業が派遣労働者の能力や現場での貢献度を高く評価し、適性を見極めた上で直接雇用へと切り替える事例もあります。

派遣先による直接雇用を得るためには、日々の業務における実績の積み重ねと、労働契約の締結期間中に派遣会社と密接に連携し、適切な協議を重ねることが重要です。

出典)令和4年「派遣労働者実態調査」の…|厚生労働省

製造業で派遣から正社員になる3つの利点

派遣社員(登録型・有期雇用)から正社員(派遣先での直接雇用、または派遣元での無期雇用)へと転換することには、経済的な側面および中長期的なキャリア形成の側面において利点があります。

雇用が安定し、長期的な視点でキャリア形成が目指せる

有期雇用の派遣労働者にとっての課題は、契約期間の満了による雇用の不安です。正社員となることで期間の定めのない労働契約へと移行し、この不安が解消されます。

また、労働契約法第18条に基づく「無期転換ルール」により、同一の使用者との間で有期労働契約が通算5年を超えて更新された場合、労働者からの申し込みによって無期労働契約に転換できる権利が発生します。

安定した雇用のもとで働くことで、短期的な収入の確保に追われることなく、数年先を見据えて腰を据えて技術を習得し、キャリア形成に取り組むことができます。

出典)無期転換ルールについて|厚生労働省

目先の時給だけでなく、賞与や退職金を含む生涯賃金が向上する

雇用形態による給与の格差はあります。厚生労働省が発表した令和6年の「賃金構造基本統計調査」のデータによれば、製造業における正社員と正社員以外の間には賃金差があります。

製造業における雇用形態別の平均賃金(月収換算・令和6年)
正社員・正職員
約33.5万円
上記以外
約22万円

出典)雇用形態別にみた賃金(令和6年)|厚生労働省

厚生労働省の「令和4年派遣労働者実態調査」によると、派遣労働者の平均賃金(基本給を税込みの時間給換算した額)は1,510円です。賃金階級別に見ると「1,250円~1,500円未満」の層が最も高い割合を占めています(参考として、一般的なフルタイム勤務(月160時間)で換算すると約20万円~24万円未満)。

出典)令和4年派遣労働者調査「調査期日現在の派遣業務」

正社員になることで基本給が上がるだけでなく、賞与(ボーナス)や退職金制度、家族手当等の各種福利厚生の適用対象となるケースが多くあります。結果として定年退職までの生涯賃金が向上することが見込まれます。

現場で責任ある業務を任されやすくなり、専門的な技術が身につく

有期雇用の派遣労働者は、派遣先との契約においてあらかじめ定められた特定の範囲内の業務を担当します。

正社員として登用された後は、より幅広い業務や、習熟に長期間を要する専門的な技術を要する業務を担当する機会が増えます。

派遣から正社員になる前に知っておくべき注意点

正社員への転換は収入増や雇用の安定につながりますが、事前に認識しておくべき現実的な制約や労働環境の変化もあります。

正社員登用制度があっても、全員が登用されるわけではない事実

多くの企業が就業規則等で正社員登用制度を定めていますが、制度があることと実際に登用されることの間にはハードルがあります。

厚生労働省が実施した「令和4年派遣労働者実態調査」によれば、過去1年間の登用実績は一部の事業所に限られていることが分かります。

正社員登用に関する状況(事業所調査)
派遣労働者を正社員として採用する制度がある事業所
14.3%
うち、過去1年間に正社員に採用した実績がある事業所
1.6%

出典)令和4年事業所調査「派遣労働者を正社員にする制度」

この統計は、登用の門戸自体は開かれているものの、実際に正社員枠を得るための審査基準や必要な技術の水準が高いことを示しています。

日々の業務をこなすだけでは登用に至るケースは少なく、企業側が必要とする技術力や問題解決能力を証明することが大切です。

業務の責任が重くなり、異動や転勤の可能性が生じる場合がある

正社員となることで、仕事の幅が広がる一方で、それに比例して業務上の責任も重くなります。生産ラインにトラブルが発生した際の復旧作業において、原因究明から対策の立案までを主体的に担うケースがあります。

また、企業の人員配置の予定に基づき、勤務地を限定しない総合職や全国転勤型の正社員として雇用された場合は、事業所間の異動や他都道府県への転勤が生じる可能性があります。

配属先や担当業務の変更に伴い、残業時間の増加や勤務体制(交代制勤務や夜勤など)が変化することも考えられます。登用面接や労働契約締結の段階で、労働条件や就業規則の詳細を確認しておくことが必要です。

製造業で派遣から正社員を目指すための具体的な方法

派遣先の正社員登用制度と過去の実績を事前に確認する

就業を開始する前の段階、あるいは派遣契約を更新するタイミングにおいて、派遣先企業に実績のある正社員登用制度があるかを確認することが重要です。

製造業においても制度を持つ企業はありますが、実績の少なさが課題となる場合があります。過去数年間で何名の派遣労働者が登用されたのかといった実績データを正しく把握しておくことが大切です。

また、派遣先の企業が同一労働同一賃金などの法令を順守しているかどうかも、安定した就業環境を見極める目安になります。法令遵守に対する意識の高い企業を選ぶことが重要です。

現場で代わりのきかない専門的な技術を身につける

長期的に就業を続けるには、代わりのきかない専門的な技術が必要です。比較的短期間の訓練で習得でき、代わりがきく業務にとどまっていると、正社員登用の対象として企業から選ばれる確率は低くなります。

工場の自動化が進むにつれて需要が増すのが、ロボットや設備をメンテナンスする保全エンジニアの技術です。機械は自律的に故障を修復できないため、必ず人間の手によるメンテナンスが必要です。

日常的な点検(予防保全)や、故障発生時の迅速な修理(事後保全)に関する技術は、長期的に活用できる専門性を持っています。働きながらこれらの技術を学ぶことは、キャリア形成において大きな役割を担います。

厚生労働省が定めるガイドラインにおいても、機械保全業務に関しては実際の現場での成果につながる職務行動例が細かく規定されています。

出典)職業能力評価基準

製造業で正社員を目指すための就業先の選び方

中長期的な教育体制が整っており技術を学べる環境があるか

労働力を提供する場所としてではなく、派遣労働者の能力開発に対して積極的な投資を行っている企業を選ぶことが重要です。

厚生労働省の調査によると、就業している派遣労働者に対して過去1年間に教育訓練・能力開発を行った事業所の割合は69.7%です。

教育訓練・能力開発の実施状況(事業所調査)
過去1年間に派遣労働者へ教育訓練を実施した事業所
69.7%
実施していない事業所
30.3%

出典)令和4年「派遣労働者実態調査」の結果

この教育訓練が「形式的な安全教育」にとどまるか、「将来を見据えた専門的な技術研修」であるかによって、最終的に身につく技術は大きく変わります。決まった手順を繰り返す業務ではなく、継続して専門技術を磨ける『専用の研修体制』が整っているかを基準に就業先を選ぶとよいでしょう。

AOCの正社員としての雇用の安定と地域に根差した安心感

エー・オー・シー(以下、当社)では、正社員として入社し、実機(実際の機械)を使っての研修を経て技術を習得し、長く活躍できるキャリアを目指せる働き方があります。

外部の教育機関では、技術を習得するためにお金を払って学ぶ必要がありますが、当社では給与をもらいながら(当社の正社員として雇用され)実践的かつ専門的な技術を学ぶことができます

これを当社では『実務×スクール育成制度』と呼んでいます。

当社は、未経験から技術者を育成するための専用施設「AOCテクニカルセンター(ATC)」を石川、福井、富山、愛知の4拠点に設置しています。ATCでは、座学だけでなく実機(実際の機械)を使用した研修を実施しています。

Ⅰ. 安全衛生・基礎
主な学習内容と技術:
法令遵守、5S+3定、QC7つ道具、KYT
習得できる実践的な能力・専門技術:
製造現場における安全確保の徹底と品質管理の基礎的な理解
Ⅱ. 電気基礎
主な学習内容と技術:
回路図作図、テスター測定、自己保持回路・フリッカ回路の作成
習得できる実践的な能力・専門技術:
自動化設備の原因究明や修理対応と安全な取り扱い
Ⅲ. 真空装置・半導体特化
主な学習内容と技術:
真空装置の取り扱い技術(チャンバーのメンテナンス、真空ポンプ交換)
習得できる実践的な能力・専門技術:
クリーンルーム内での特殊な保守作業、半導体製造プロセスにおける点検と事後保全
Ⅳ. メカトロ訓練・機械調整
主な学習内容と技術:
図面の読解、精密測定器の使用、機械要素の分解・組立、機械調整技術
習得できる実践的な能力・専門技術:
設備の最適稼働の維持、駆動部・搬送部の調整と体系的な機械保全業務

丁寧なカリキュラムを経ることで、単一の工程に縛られない技術を習得できます。こうした技術を習得し、さまざまな業界で活躍できる保全エンジニアを、当社では「クロスオーバーエンジニア」と呼んでいます。

当社では、未経験からでも段階的に技術を身につけ、現場で活躍できるエンジニアの育成に取り組んでいます。当社の研修内容や具体的なキャリアの道については、以下のページにてご確認いただけます。

【AOCで長く活かせるエンジニア技術を身につけませんか?】

給与をもらいながら学べる「実務×スクール育成制度」と実践的な研修設備で、あなたのキャリア形成をサポートします。

製造業の派遣と正社員に関するよくある質問

Q.未経験からでも製造業の正社員を目指すことはできますか?

はい、当社では、意欲のある方を歓迎しており、研修を通じて現場で活躍できる人材への成長が可能です。採用の場においては、応募者がどのような姿勢で業務に取り組むのかを重視しています。

当社のATC研修を通じて、未経験からでも段階的に技術を学び、現場で活躍できるエンジニアを目指せる環境があります 。研修では、図面の読み方や工具の正しい使い方から丁寧に指導を行います 。

また、地方での就業を検討される方に向けて、当社では生活家電(テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン等)付きの個室寮(1R・1K)を完備しています。敷金・礼金不要で即日入居・就業にも対応する案件もあります。同じ収入でも生活費の支出が少ない分、自由に使えるお金が多くなることも地方就業の特徴です。

Q.正社員になると残業や夜勤が増えるのでしょうか?

配属先の企業や担当する具体的な業務内容によって労働環境は異なるため、事前の条件確認が重要です。設備が24時間稼働している工場においては、保全エンジニアも交代制勤務となるケースがあります。

夜間の就業が発生した場合、労働基準法に基づき、22時から翌5時までの勤務に対しては25%以上の割増賃金が支払われます。

出典)法定労働時間と割増賃金について… – 厚生労働省

製造業における正社員へのキャリアの道は、関連法規の正しい理解と専門技術の習得によって切り開くことが期待できます。実機を用いた教育体制の整った環境でのキャリア構築を検討するのも方法の一つです。

AI時代でも求められる「実践的な技術」を身につける

未経験から目指す、新しい働き方

  • 「実務×スクール育成制度」で、給与をもらいながら学べる
  • 当社の「正社員」として、雇用の安定を方針とした働き方
  • 文系・異業種出身者も、1.5ヶ月にわたる実践研修で着実に技術を習得

当社では、未経験からでも段階的に技術を身につけ、現場で活躍できる技術者の育成に取り組んでいます。
まずは特設サイトにて、具体的な研修内容や道をご確認ください。