「直す仕事」に未経験から挑戦するには?種類と転職を成功させる方法

日本の労働市場は現在、少子高齢化に伴う労働力人口の減少という転換点に立たされており、あらゆる産業で人材の確保と育成が課題となっています。特に、工場設備や社会インフラを維持・管理する分野では、熟練技能者の引退による技術継承の課題が指摘されています。

このような背景から、「直す仕事」と総称される技術職の社会的需要は高まっています。本記事では、未経験から技術習得を通じて目指せる「直す仕事」の種類と、転職の際の企業選びの基準についてお伝えします。

※本記事に記載されている労働関係法令や各種制度に関する内容は、記事執筆時点での一般的な情報です。実際の労働条件や契約内容は、就業先の企業や派遣会社によって異なります。詳細は最新の募集要項をご確認ください。

直す仕事の主な職種は保全・サービス・ビル管理

「直す仕事」と一口に言っても、対象となる機械の種類、作動する環境、求められる専門技術の性質によって職種は細分化されます。ここでは、未経験からでも計画的な技術習得を通じて目指すことができ、産業界からの要請が強い代表的な職種についてお伝えします。

工場の生産設備を守る「保全エンジニア」

現代の製造業において、工場の生産設備は複雑化しており、設備が停止することなく安定して稼働し続ける状態を維持することが重要です。この役割を担うのが保全エンジニアです。業務は、故障前に部品の劣化状態を確認し交換を行う「予防保全(点検)」と、突発的なトラブルで設備が停止した際に原因を究明して修理を行う「事後保全(修理)」に大別されます。

製造現場ではロボットやIoT技術を用いた自動化が進んでいますが、工場の省人化を進めるほど、その高度な自動化設備のメンテナンスや異常時の復旧作業を行う保全エンジニアがより多く必要になるという構造があります。既存の生産機器の老朽化や、熟練エンジニアの離職による技術継承の課題も、製造現場における懸念材料として認識されています。

保全従業員の約2割が60歳以上を占める

熟練技術者の大量退職による知識の消失への懸念

既存の生産機器の老朽化

故障時の停止時間長期化と保守費用の増大

若年層への技術伝承の遅れ

未経験者から専門人材を育成する教育機能の社会的要請

出典)2023年版ものづくり白書|経済産業省 ほか

さまざまな業界で活躍できる保全エンジニアを、エー・オー・シー(以下、当社)では『クロスオーバーエンジニア』と呼んでいます。半導体、自動車、製薬、繊維など、さまざまな業界で活躍できる高い技術は、次世代の製造業を支える役割の一つです。

顧客の元で直接機械を修理する「サービスエンジニア」

サービスエンジニアは、自社製品や取り扱い機器を導入している顧客企業などを直接訪問し、現場で保守、定期点検、修理を行う職種です。医療機関の大型医療機器から、オフィスの複合機、店舗の産業用機械など、生活やビジネスの最前線に密着した機器が対象です。

機器の内部構造に関する機械的・電気的知識やトラブルシューティングの技術に加えて、現場でのコミュニケーション能力が大切です。現場での初期ヒアリングによる状況把握や、修理完了後の原因・予防策の説明など、的確なコミュニケーションが必要です。技術的な解決だけでなく、お客様の不安を取り除く役割があります。

建物の安全と機能を維持する「ビルメンテナンス」

ビルメンテナンス(ビル設備管理)は、商業施設、高層オフィスビル、病院、ホテルなどの建物において、各種設備を点検し、修理・調整を行う仕事です。オフィスビルや商業ビルなどにおいて、電力設備、空調設備、給排水設備などの運転・調整や管理を行います。

法律や条例によって定められた法定点検をスケジュール通りに実施し、老朽化した部品の交換や、異常警報時の初期対応を担います。施設利用者が意識することなく安全に建物を活用できる環境を維持する役割を果たしており、景気の変動に左右されにくい職種の一つです。

出典)ビル施設管理|職業情報提供サイト(job tag)

直す仕事は技術習得の魅力と現場対応の覚悟

異業種や未経験から技術職へキャリアチェンジを図る過程には、良い点とともに、現場で直面する現実的な厳しさもあります。客観的な視点から双方の要素をお伝えします。

専門技術の習得がキャリア形成につながる利点

保全エンジニアとして実務経験を積む良い点の一つは、さまざまな業界で活躍できる専門技術が身につくことです。これらの技術は物理法則や工学的な規格に基づいた実践的なものであり、自身のキャリア形成の道です。

【保全技術の中核となる専門技術】
1. 有接点シーケンス制御の技術
リレーやタイマーといった物理的な接点を持つ機器を組み合わせ、機械を決められた順序で自動作動させる基礎技術。電流の流れや断線といった物理的トラブルの根本原因を特定するために必要な知識です。
2. 真空装置の取り扱い技術
大気圧よりも圧力が低い真空状態を作り出し、維持する装置の操作およびメンテナンス技術。微細な塵や不純物を嫌う半導体製造プロセスにおいて重要な役割を担います。
3. 機械調整技術
歯車、チェーン、シリンダーといった機械要素を組み立て、摩擦やガタつきを抑えながら動くように微調整する技術。設備の稼働効率と製品品質を直接的に担保する能力です。

これらの技術を習得することは、長く活躍できるキャリアにつながります。例えば北陸地方では、半導体製造装置や産業機械などの有力企業が複数立地しており、新たな工場新設等に向けた投資が発表されています。最新の製造機械を導入する工場が増加することに伴い、それを維持・管理する保全エンジニアの需要拡大が見込まれます。

からだを使う技術は今も人の手による対応が必須

AI技術の発展によりコンピューター上で行う業務は自動化の影響を受けていますが、保全エンジニアが対象とするのは実際の工場で稼働する設備や機械です。

機械のわずかな振動音の変化、油の匂いの察知、入り組んだ配線の奥にある小さな部品の交換など、人間の五感とからだを使った技術(実際の機械を扱う技術)を要する実践的な作業を伴います。機械のトラブルなど、その都度状況が異なる現場対応については、現状では人の手による作業が必要とされる場面が多く、需要が継続している分野です。

機械の修理や整備に関する職種の求人倍率は高い水準で推移しています。厚生労働省が公表するデータにおいても、「機械整備・修理の職業」の有効求人倍率は、製品検査などの職種と比較して高い傾向にあります。

【職業分類(地方労働局管内の傾向例)】有効求人倍率の水準と産業的背景の推察
機械整備・修理の職業
設備の老朽化および自動化投資の拡大に伴う保守人材の不足
4倍〜6倍で推移
製品検査(金属除く)
自動検査装置の導入により、目視による検査業務の需要は均衡状態
1倍前後
機械検査の職業
定型的な業務は省人化が進みやすい傾向にある
1倍未満

出典)一般職業紹介状況(令和8年3月分及び…)|厚生労働省

全国的な傾向としても保全技能者の需要があることが読み取れます。

現場でのトラブル対応など泥臭い作業を伴う覚悟も必要

直す仕事は、工場という生産現場で働く以上、機械の油汚れやホコリがある環境、厳しい温度環境下での作業が発生する場合もあります。生産ラインが突発的な故障で停止した際には、製品の出荷遅延を防ぐために一刻も早い復旧が必要であり、冷静に原因究明と修理を行わなければならない場面もあります。

未経験から挑戦するにあたっては、「具体的な機械の仕組みを理解して直せるようになりたい」「現場で活躍する技術者になりたい」といった目的意識を持つことが、定着と成長につながります。

当社では、目の前の機械に向き合い、地道な改善を繰り返すことができる意欲のある方を歓迎しています

求人選びは実機研修・雇用安定・給与型学習の3点

未経験者が就業後のミスマッチを防ぎ、着実にエンジニアとして成長するための具体的な企業選びのポイントをお伝えします。

確認ポイント1は実機を使った研修制度の充実度

エンジニアの育成環境を見極める重要なポイントの一つが、研修設備の充実度です。テキストによる座学だけではなく、現場の機械が発する特有の振動、駆動音、金属部品の質感、配線の取り回しといった要素は、実機(実際の機械)に触れることで身につけることができます。現場と同じ実機を使った研修体制があるかどうかが、配属後のギャップを防ぐポイントです。

当社の「AOCテクニカルセンター(ATC)」では、実際の生産現場で稼働しているものと同等の機械設備を完備し、現場で活躍できる人材の育成を行っています。拠点は、石川、福井、富山の3拠点に設置しています(今後は愛知県にも拠点を拡大する予定です)。

半導体産業で重要な役割を果たす「真空装置」、工場の自動化を制御する「有接点シーケンス制御」、機械の基礎要素を学ぶ「メカトロ訓練装置」等の実機を用いた実践的な訓練カリキュラムを提供しています。

確認ポイント2は正社員としての雇用安定性

一人前の技術を習得するには、現場での継続的な経験の蓄積が必要となるため、生活を支える雇用の安定が重要です。

当社では正社員として入社し、実機を使っての研修を経て技術を習得し、長く活躍できるキャリアを目指せる働き方により、雇用の安定を方針として掲げています。

生活の支援として、生活家電(テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン等)付きの個室寮(1R・1K)を完備しています。敷金・礼金不要で即日入居・就業にも対応しており、経済的負担を抑えて新生活を始めることが可能です。また、地方で暮らす場合、同じ収入でも首都圏と比べると生活費の支出が少ない分、自由に使えるお金が多くなるという利点もあります。

確認ポイント3は費用なしで給与を得られる学習環境

技術を習得する過程における経済的負担の構造も確認すべき事項です。民間のプログラミングスクール等ではお金を払って学ぶ形が一般的であり、学習期間中は無収入となるケースもあります。

雇用保険を受給できない方を対象とした国の「求職者支援制度」では、無料の職業訓練と就職支援が受けられます。さらに「本人収入が8万円以下」「世帯の金融資産が300万円以下」などの要件を満たせば、職業訓練受講給付金の支給も受けられます(給付金の対象外であっても訓練の受講は可能です)。

出典)求職者支援制度のご案内 – 厚生労働省

これに対し、当社が提示する働き方として、給料を受け取りながら専門的な研修を受けることができる仕組みがあります。これを当社では『実務×スクール育成制度』と呼んでいます。お金を払って学ぶのではなく、研修期間中も労働の対価として給与を得られるため、当面の生活費に対する心配を抱えることなく、保全エンジニアを目指すことが可能です。

当社では、未経験からでも段階的に技術を身につけ、現場で活躍できるエンジニアの育成に取り組んでいます。当社の研修内容や具体的な働き方については、以下のページにてご確認いただけます。

【実務×スクール育成制度でエンジニアを目指す】

給与を受け取りながら実機で学べる研修内容やキャリアパスをご紹介します。

「直す仕事」や未経験からの挑戦に関するよくある質問

キャリアチェンジを検討するにあたって、未経験者が抱きやすい疑問についてお伝えします。

文系出身や知識ゼロでも保全エンジニアになれますか?

「モノづくりに興味がある」「技術を身につけたい」という意欲があれば挑戦できます。

厚生労働省が定めるガイドライン(職業能力評価基準)においても、職務を遂行するために必要な能力は、知識の有無だけでなく「問題発生時に原因を特定しようとする姿勢」や「安全規定を遵守する態度」といった具体的な職務行動例として定義されています。

当社のATCにおける研修でも、工具の名前や基本的な使い方といった初歩的な段階から、有接点シーケンス制御の配線図の読み方、真空装置のバルブ操作手順などを基礎から段階的に指導しています。

研修期間中の給与や生活費はどうなりますか?

研修期間中の給与の取り扱いは、入社する企業の規定や雇用形態によって大きく異なります。応募の際には求人票に記載されている「研修中の待遇」を詳細に確認することが大切です。

当社の「実務×スクール育成制度」では、ATCでの研修中も正規の給与が支給されます。また、生活家電付きの個室寮を利用することで、同じ収入でも首都圏と比べると生活費の支出が少ない分、自由に使えるお金が多くなり、安定した状態でキャリアをスタートすることができます。

どのような資格や技術があると就職に有利ですか?

未経験者を対象とした募集において、応募段階で特別な国家資格が必要とされるケースは少ないです。しかし、自発的な学習意欲を示す要素として「機械保全技能士」などの国家資格取得に向けた姿勢は評価の対象です。

機械保全技能士は、工場の設備機械の故障や劣化を予防し、正常に稼働させるための知識と技能を証明する公的な資格です。当社のATC研修カリキュラムも、この資格の取得要件を見据えたメカトロ訓練装置を用いた実践的な内容を含んでいます。

現場の機械に直接触れ、構造を理解し、安全かつ正確に作業を遂行しようとする実直な姿勢を持つことが、エンジニアとして成長していくための基礎です。

当社では、未経験からでも段階的に技術を身につけ、現場で活躍できるエンジニアの育成に取り組んでいます。当社の研修内容や具体的な働き方については、以下のページにてご確認いただけます。

【現場で活躍するエンジニアへ】

未経験から現場で活躍できるエンジニアを目指す方法をご紹介します。