フィールドエンジニア(Field Engineer)とは、自社ではなく顧客のオフィスや現場(フィールド)に直接赴き、機器やシステムの導入・設置、保守、点検、修理などを専門に行う技術者のことです。ソフトウェアの開発などを行うITエンジニアとは異なり、実際にハードウェアに触れることが多く、技術的な専門知識と直接の顧客対応力の両方が求められます。
活躍する業界はITインフラ、医療機器など多岐にわたりますが、製造業の自動化やロボット導入が急速に進む昨今、産業機械や工場設備の安定稼働を最前線で支えるフィールドエンジニアの需要がかつてないほど高まっています。
石川県金沢市を拠点に30年以上、地域の製造現場に寄り添い続けてきた私たちエー・オー・シーが今、未経験の方にこそ強くおすすめしたいのが、フィールドエンジニアのなかでも工場設備のスペシャリストである「保全エンジニア」としてのキャリアです。工場の省人化が進めば進むほど、実機をメンテナンスできる「人の手」が必要不可欠となり、将来にわたって高い市場価値を発揮できるからです。
本記事では、未経験からフィールドエンジニア(なかでも保全エンジニア)を目指す方に向けて、具体的な仕事内容や将来性、現場で求められるスキルを解説します。また、企業選びで後悔しないための注意点や、プロとして長く活躍するためのキャリア形成のロードマップも合わせてご紹介します。これから一生モノの技術を身につけたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
※本記事に記載されている労働関係法令や割増賃金、各種制度に関する内容は、記事執筆時点での一般的な情報です。実際の労働条件や契約内容は、就業先の企業や派遣会社によって異なります。当社のエンジニア派遣求人の多くは無期雇用派遣ですが、すべての求人がそうではない場合もあります。詳細は最新の募集要項をご確認ください。
目次
フィールドエンジニアのなかでも工場の製造設備保全を担うのが「保全エンジニア」
保全エンジニアとは、フィールドエンジニアの中でも、特に製造工場等に設置された機械や設備の保守、点検、修理を専門に行う機械を扱う技術職です。日本の製造現場における安全で安定した操業の実現に寄与し、生産性の向上において重要な役割を担っています。
人工知能やロボット技術を用いた自動化が推進される現代においても、実際の機械や設備は、人の手による点検や調整が必要です。各種の先進設備や製造装置は、センサーやソフトウェアによる高度な監視・制御技術によって強力に支えられていますが、物理的な動作を伴うハードウェアである以上、システムと連携した人の手による物理的な点検や不具合への対応が必要です。
そのため、事務作業の省力化が進むなかでも、物理的なメンテナンス技能は、現状では人の手による対応が必要とされる領域です。
主な業務はトラブルを未然に防ぐ予防保全と故障時の事後保全
設備の正常な稼働を維持するための保守活動は、対応のタイミングと目的によって分類されます。
あらかじめ計画されたスケジュールや稼働時間に基づいて、機械や設備の点検・調整・消耗品の交換を定期的に実施する保全活動です。故障の発生そのものを未然に回避し、突発的な設備停止による不稼働時間を減らすことを目的としています。
設備に不具合や突然の故障が発生した後に、その原因を特定し、元の稼働状態に復旧させるためのメンテナンス活動です。事後的な対応であるため普段の業務負荷は一定ですが、緊急時の迅速な修理対応能力が求められます。
近年導入が進んでいる新しいアプローチであり、IoTやAIによるデータ分析を用いて、設備に生じたわずかな異音や熱などの異常の兆候を検知したタイミングでピンポイントにメンテナンスを実施する保全活動です。部品の限界までの使用が可能になり、過剰な部品交換費用や人件費を削減することにつながります。
工場自動化の進展に伴いメンテナンスを担う技術者の需要は拡大
工場の自動化が進みロボットが増えるほど、そのロボットをメンテナンスする保全エンジニアの需要も増えていきます。
労働力不足への対策として自動化ロボットが導入されていますが、ロボット自体の定期メンテナンスや、システムエラー・配線トラブルに対応するための技術者の確保が新たな課題です。
経済産業省が発表した推計においては、労働需給のミスマッチが予測されています。
| 職種・学歴・地域 | 2040年需要予測 | 2040年供給予測 | 需給ギャップ(ミスマッチ数) |
|---|---|---|---|
| 専門職 全体 | 1,867万人 | 1,686万人 | 181万人不足 |
| (内、AI・ロボット等利活用人材) | 782万人 | 443万人 | 339万人不足 |
| 現場人材 全体 | 3,283万人 | 3,023万人 | 260万人不足 |
| (内、生産工程従事者) | 731万人 | 525万人 | 206万人不足 |
| 事務職 | 1,039万人 | 1,476万人 | 437万人余剰 |
| 大卒・院卒 理系 | 900万人 | 775万人 | 124万人不足 |
| 大卒・院卒 文系 | – | – | 76万人余剰 |
| 高卒(工業科) | 538万人 | 448万人 | 91万人不足 |
| 高専卒 | 77万人 | 62万人 | 15万人不足 |
この推計データが示す通り、事務職や文系人材に余剰が生じる可能性が示唆される一方、地方や製造現場を支える専門技術職や現場人材は不足する構造が見込まれます。
当社でも、この市場ニーズに応えるべく、さまざまな業界で活躍できる保全エンジニアの育成を目指し、教育体制の強化に注力しています。当社では、このような人材を『クロスオーバーエンジニア』と呼んでいます。
未経験から保全エンジニアとして長く生き残るための3つの選択肢
未経験から現場に入り、長期的なキャリアを築くためには、主に以下の3つのアプローチが選択肢として存在します。
選択肢1:独学や公的な職業訓練(ハロートレーニング)を活用する
国や自治体が主導する公的な制度として、ハロートレーニング(公共職業訓練)と求職者支援制度があります。求職者支援制度では、雇用保険の失業給付を受給できない方を対象に、職業訓練受講給付金を受給しながら訓練を受けることが可能ですが、本人収入が月8万円以下、世帯全体の金融資産が300万円以下などの要件があります。
選択肢2:有料のプログラミングスクールや民間講座に通う
自己投資として民間の教育機関や有料スクール等に費用を払って学ぶ選択肢です。費用相場はコースや期間に応じて60万〜90万円程度であり、専門実践教育訓練給付制度などの対象であれば国からの一定の費用助成が適用される場合もあります。
これらの民間講座は、主にWebアプリ開発やサーバー構築といった情報システム上の領域に関するものが中心です。実際の工場機械や配管、制御基盤を物理的に取り扱うハードウェア保全に特化した民間スクールは比較的少ない傾向にあります。
選択肢3:給与を得ながら学べる「育成型の人材派遣(常用型)」を選ぶ
人材会社と契約を結び、給与を受け取りながら学ぶというアプローチであり、派遣会社と期間の定めのない雇用契約を結ぶ無期雇用派遣社員の働き方が該当します。これを当社では『実務×スクール育成制度』と呼んでいます。
有料スクールのように自己資金の支払いや、受講期間中に給与が発生しない状態となるリスクを回避できます。雇用契約に基づいて給与を受け取りながら研修施設で基礎訓練を受け、その後に現場実務へと移行することが可能です。
一時的に配属先での就業が終了した期間であっても、労働基準法に基づき休業手当や給与の支払いが継続するため、生活基盤が維持される特徴があります。
保全エンジニアとして活躍するために必要な専門技術
安定したキャリアを築くためには、実務に直結する専門技術(テクニカルスキル)が欠かせません。特に以下の3つの技術は、設備を効率よく安定して動かすために非常に重要です。
1.リレーの構造や断線トラブルを解決する有接点シーケンス制御技術
あらかじめ定められた順序に従って制御を進めるシーケンス制御は、工場自動化における共通言語として機能しています。プログラムによって制御を行う機器によるソフトウェア制御に特化する前の段階として、電磁リレーやスイッチを用いた有接点回路の基礎知識が求められます。
自己保持回路などの基礎回路や、時間経過に対する各接点の動作を表したタイムチャートを読み解く能力が、設備の正常な動作確認や品質管理に直結します。経年劣化や外部要因によって配線が断線した際、測定器等を用いて回路の不良箇所を特定し、速やかに配線の復旧・調整を行う技術は、ライン停止時間を短縮させるために有効なテクニカルスキルです。
1つの選択肢として、当社では実際の現場で使用される有接点シーケンス制御の模擬装置を自社研修施設に完備しています。
2.最先端の半導体製造プロセスを支える真空装置の取り扱い技術
半導体産業は日本における国家戦略産業として位置づけられており、北陸地域における重要な産業基盤を形成しています。半導体の成膜やエッチング工程を遂行するためには、気圧を下げた真空環境を装置内に形成する必要があります。
チャンバー内の昇降温操作、排気を行う真空ポンプの点検、真空状態を保持するためのOリングの適切な交換など、専門性の高い保全技術が求められます。日本表面真空学会などでは真空技術者の資格認定試験を実施しており、一定の基準を満たすことで資格が付与されます。
当社では、実機(実際の機械)である真空装置の取り扱いを用いたカリキュラムを提供しています。
3.機械保全技能士などの資格にも直結する機械調整技術
工場の設備が安定稼働を維持するためには、物理的な機械調整技術が欠かせません。専用の刃具を用いてネジ山を形成するタップ立て、チェーン伝達の調整、回転機器の振動を抑制する軸芯ブレ確認などの調整技術は、設備の寿命を左右します。これらは、機械設備があるさまざまな工場で活かせる専門技術です。
厚生労働省が定めるガイドラインにおいても、保全実務のレベル定義が定められており、業界全体の評価の基準となっています。国家資格である機械保全技能検定の等級構成および試験の合格基準は、以下のように設定されています。
出典)日本プラントメンテナンス協会 機械保全 技能検定(合否基準)
企業選びで後悔しないための求人チェックポイント
未経験から技術を身につける際、求人選びで「入社前後のミスマッチ」を防ぐためのポイントがあります。
求人票に魅力的な職種名が書かれていても、実際には実機での研修がなく、製品の組み立てや加工業務に回されてしまうケースがあります。これでは、目的である保全技術や回路制御のスキルを身につけるのは困難です。
ミスマッチを防ぐために確認すべき、具体的なチェック基準は以下の通りです。
- 実機(実際の機械)を用いた研修施設の有無
機械や制御回路の調整技術を習得するためには、座学のみでなく、模擬設備が完備された物理的環境での訓練が必要です。 - 具体的な保全・メンテナンス職務への配属実績データ
採用された人員が、実際にどのような職種に配属されているか、実績の割合が可視化されているかを確認することが重要です。 - 技術習得後のキャリアパスの明示
社内において、どのような教育プランが設定されているか、技能検定などの国家資格取得に向けた継続的な支援プログラムが存在するかを確認します。
当社では、未経験からでも段階的に技術を身につけ、現場で実務を担える人材の育成に取り組んでいます。当社の研修内容や具体的なキャリアの道筋については、以下のページにてご確認いただけます。
給与をもらいながら学べる『実務×スクール育成制度』と
実践的な研修設備で、あなたのキャリアチェンジをサポートします。
未経験からのフィールドエンジニア就職に関するよくある質問
Q.文系出身や工場勤務の未経験者でもプロになれますか?
文系や未経験からであっても、教育プログラムを経ることで、現場で求められる保全技術者として経験を積むことが期待できます。座学のみでなく、実際の工場と同じ構造を持つ実機(実際の機械)を用いた実践的な訓練を積むことが、現場適応力を支える要素となります。
当社が運営する「AOCテクニカルセンター(ATC)」では、石川、福井、富山の3拠点において、経験豊富な講師が未経験者の育成体制を整えています。入社当初は戸惑うことのある未経験者であっても、物理的構造や制御理論の基礎から学ぶことが可能です。
※ATCでの研修プログラムは保全エンジニアを対象として設計されており、検査、溶接、フォークリフト、品質管理といったその他の職種を目的とした研修プログラムは行っていません。
Q.地方の求人に応募する場合に生活費や引っ越し費用の負担はありますか?
遠方や他の都道府県から求人に応募して転居する場合、自己負担を抑えて新生活を立ち上げるための支援制度が存在します。
当社のエンジニア派遣求人の中には、生活家電付きの完全個室寮(1R・1K)が完備されており、敷金・礼金不要で経済的負担を抑えて新生活が始められる案件もあります。基本的にテレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなどの生活家電が設置された個室寮が主流となっており、家賃が一般的な賃貸住宅より安く抑えられる傾向があります。
また、東京23区に5年以上在住、または東京圏から通勤していた求職者が、北陸地方にUIターンして条件を満たす求人に新規就業した場合、国や自治体から移住支援金を受給できる制度があります。
| 都道府県名 | 世帯での移住(基本給付額) | 単身での移住(基本給付額) | 18歳未満の子を帯同する場合の加算 |
|---|---|---|---|
| 石川県 | 100万円 | 60万円 | 18歳未満の子1人につき100万円加算 |
| 富山県 | 100万円 | 60万円 | 18歳未満の子1人につき100万円加算 |
| 福井県 | 100万円 | 60万円 | 18歳未満の子1人につき100万円加算 |
地方都市は首都圏に比べて家賃水準や生活経費が低い傾向にあります。そのため、同じ収入でも首都圏と比べると生活費の支出が少ない分、手取りとして手元に残る資金が多くなり、経済的な余裕を確保しやすくなります。
Q.夜勤やシフト勤務がある場合の給与や手当の仕組みはどうなっていますか?
製造設備を24時間体制で稼働させる多くの工場では、交替制勤務が敷かれています。
労働基準法第37条に基づき、午後10時から翌日の午前5時までの間に労働させた場合は、法令通り25%以上の割増賃金が支払われることが義務づけられています。深夜労働が時間外労働や休日出勤と重複する場合、それぞれの条件に応じた法定割増率が加算されて計算されます。
| 労働の区分 | 法定割増率 | 重複した場合の計算率(基礎時給換算比) |
|---|---|---|
| 通常の時間外労働(残業:月60時間以下) | 25%以上 | 通常時給 × 1.25倍 |
| 深夜労働(22時〜翌5時の労働) | 25%以上 | 通常時給 × 1.25倍 |
| 法定休日労働 | 35%以上 | 通常時給 × 1.35倍 |
| 時間外労働 + 深夜労働 | 25% + 25% | 通常時給 × 1.50倍 |
| 法定休日労働 + 深夜労働 | 35% + 25% | 通常時給 × 1.60倍 |
| 時間外労働(月60時間超) + 深夜労働 | 50% + 25% | 通常時給 × 1.75倍 |

