フィールドエンジニアとは、自社が製造・販売した製品や装置を導入した顧客企業のもとへ出向き、設置の支援や点検、修理などを行う技術者のことです。自社製品を納めた「外部の顧客先」を担当する点が特徴で、担当する顧客企業を1日に何社も回る働き方や、契約している複数の企業を巡回する働き方が中心になります。
似た仕事に、工場の生産設備を保全する「保全エンジニア」がありますが、両者は対象とする所属や立場が異なります。フィールドエンジニアは自社製品を納入した顧客先(他社の工場や施設)を担当するのに対し、保全エンジニアは自社(または派遣先)の工場内で稼働するすべての生産設備を、1つの現場に腰を据えて点検・修理します。機械の安定稼働を支えるという点では似ていますが、「外部の顧客先を回る」か「自社の工場内に常駐する」かという働き方の違いがあります。
本記事では、この違いを踏まえたうえで、当社が「保全エンジニア」として育成している分野を中心に、具体的な仕事内容や将来性、現場で必要な専門技術をご紹介します。あわせて、就業先選びでのポイントや、プロとして長く活躍するための考え方も解説します。これから長く役立つ技術を身につけたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
※本記事に記載されている労働関係法令や各種制度に関する内容は、記事執筆時点での一般的な情報です。実際の労働条件や契約内容は、就業先の企業や派遣会社によって異なります。詳細は最新の募集要項をご確認ください。
目次
フィールドエンジニアと保全エンジニアの違い:客先を回るか、自社工場に常駐するか
フィールドエンジニアと保全エンジニアは、どちらも実機(実際の機械)を相手に点検・修理を行う技術職ですが、担当する現場の立場が異なります。ここでは、それぞれの働き方の違いを具体的に見ていきます。
フィールドエンジニアの働き方と注意点
フィールドエンジニアは、自社が製造・販売した製品や装置を導入した顧客企業のもとへ出向き、導入支援や設置、定期点検、故障時の修理を行います。契約している複数の企業を1日に何社も回る働き方や、担当エリア内の顧客先を巡回する働き方が中心で、1つの企業に常駐するのではなく客先を飛び回る点が特徴です。対象となる製品はメーカーや業界によって異なり、パソコンやOA機器を担当する場合もあれば、産業機械や医療機器を担当する場合もあります。未経験からこの仕事を目指す場合は、次の点を事前に確認しておくことが出発点になります。
- 担当する製品によって必要な知識が大きく異なること(パソコン・複合機・産業機械など、担当する製品によって学ぶ内容がまったく変わります)
- 客先常駐か、自社拠点から複数の客先を回るかは企業によって分かれること
- 訪問件数や移動時間が多い働き方になりやすいこと
保全エンジニアの働き方
一方、保全エンジニアは、自社(または派遣先)の工場内で稼働するすべての生産設備を対象に、1つの工場に腰を据えて継続的に設備を守る働き方が中心です。特定の製品を納めた顧客先を回るのではなく、工場内にあるさまざまな機械・設備全般が担当範囲になります。対象となる機械は工場ごとに異なりますが、シーケンス制御や油圧・空圧機器、モーターといった基本の機械要素は共通する部分が多く、一度身につけた技術を工場をまたいで活かしやすいという特徴があります。
当社が育成しているのは、この保全エンジニアです。さまざまな業界で活躍できる保全エンジニアを、当社では「クロスオーバーエンジニア」と呼んでいます。石川・福井・富山の3拠点(今後は愛知県にも拠点を拡大予定)にあるAOCテクニカルセンター(ATC)では、半導体(石川)、医薬品(富山)、繊維・自動車部品(福井)など、業界の異なる工場の生産設備に対応できる技術者を育成しています。半導体工場や製薬工場で実際にどのような仕事をするのかは、以下の記事でも紹介しています。
保全エンジニアは1つの工場に腰を据えて設備を守り続ける技術職
保全エンジニアとは、製造工場に設置された機械や設備の保守、点検(予防保全)、修理(事後保全)を専門に行う技術職です。前章で紹介した通り、自社製品を納めた顧客先を回るフィールドエンジニアとは異なり、1つの工場に腰を据えて設備を守り続ける働き方が特徴です。工場が止まらず、安全に稼働し続けるために欠かせない仕事です。
主な業務はトラブルを未然に防ぐ予防保全と故障時の事後保全
点検(予防保全)は、あらかじめ計画されたスケジュールや稼働時間に基づいて、機械や設備の点検・調整・消耗品の交換を定期的に実施し、故障や突然の停止を防ぐ業務です。修理(事後保全)は、設備に不具合や故障が発生した後、原因を特定して元の稼働状態に復旧させる業務です。この両方を担うのが保全エンジニアの仕事です。
近年は、IoTやAIによるデータ分析で不調の予兆を検知し、必要な部品交換に絞って対応する予知保全を取り入れる工場も増えています。
工場自動化の進展に伴いメンテナンスを担う技術者の需要は拡大
工場の自動化が進みロボットが増えるほど、そのロボットをメンテナンスする保全エンジニアの需要も増えていきます。労働力不足への対策として自動化ロボットの導入が進む一方、ロボット自体の定期メンテナンスや、システムエラー・配線トラブルに対応する技術者を確保することが新たな課題です。
経済産業省が公表している2040年の就業構造推計でも、現場で機械や設備を扱う人材の不足が見込まれています。
未経験から保全エンジニアとして長く活躍するための3つの方法
方法1:独学や公的な職業訓練(ハロートレーニング)を活用する
国や自治体が主導する公的な制度として、ハロートレーニング(公共職業訓練)と求職者支援制度があります。雇用保険を受給できない方を対象とした国の「求職者支援制度」では、無料の職業訓練と就職支援が受けられます。さらに本人収入が8万円以下、世帯の金融資産が300万円以下などの要件を満たせば、職業訓練受講給付金の支給も受けられます(給付金の対象外であっても訓練の受講は可能です)。
方法2:有料のプログラミングスクールや民間講座に通う
自己投資として民間の教育機関や有料スクールに費用を払って学ぶ方法です。費用相場はコースや期間に応じて60万〜90万円程度で、専門実践教育訓練給付制度などの対象であれば国からの費用助成が適用される場合もあります。ただし、これらの民間講座はWebアプリ開発やサーバー構築といった情報システム領域が中心で、実際の工場の機械や配管、制御盤を物理的に扱うハードウェアの保全に特化したスクールは多くありません。
方法3:当社の正社員として入社し、給与を得ながら学べる働き方を選ぶ
当社の正社員として入社し、実機を使っての研修を経て技術を習得し、長く活躍できるキャリアを目指せる働き方です。働きながら給与を受け取って学ぶことができ、これを当社では「実務×スクール育成制度」と呼んでいます。有料スクールのように自己資金を用意したり、受講期間中に無給になったりする心配がありません。
雇用契約に基づいて給与を受け取りながら、研修施設で1.5ヶ月の基礎訓練を受け、その後に現場実務へ移行します。また、当社の正社員であれば、一時的に配属先での就業が終了した待機期間であっても、労働基準法に基づき休業手当や給与の支払いが続くため、生活基盤を維持しながら働き続けられます。
保全エンジニアとして活躍するために必要な専門技術
1.リレーの構造や断線トラブルを解決する有接点シーケンス制御技術
電磁継電器(リレー)やスイッチの構造、基本的な回路の動きを理解する技術です。設備が停止した際に、テスターなどの計測器を使って回路のどこに異常があるかを特定し、配線や部品を直して早期に復旧させる場面で必要になります。
2.最先端の半導体製造工程を支える真空装置の取り扱い技術
半導体製造など精密な工程で使われる真空装置を扱う技術です。チャンバー内の温度管理や真空ポンプの保守、Oリングの交換などが含まれます。日本真空学会による関連の認定制度もあり、専門性を示す目安の一つになります。
3.機械保全技能士などの資格にも直結する機械調整技術
タップ立て(ねじ加工)やチェーンの張り調整、主軸の振れ確認といった、機械を正確に動かすための調整技術です。国家資格である機械保全技能士の実技試験内容とも重なる部分が多く、資格取得を通じて技術を体系的に確認できます。
機械保全技能士には3級から特級までの等級があり、実務経験に応じて挑戦できる級が変わります。
企業選びで後悔しないための求人チェックポイント
フィールドエンジニアの求人を選ぶ際は、まず対象機器と勤務形態(客先を飛び回るか、1つの工場に常駐するか)を確認することが出発点になります。そのうえで、保全エンジニアとして長く活躍するには、次の3点も確認しておきましょう。
- 実機を用いた研修施設の有無
機械や制御回路の調整技術を身につけるには、座学だけでなく、模擬設備が整った環境での訓練が欠かせません。 - 具体的な保全・メンテナンス職務への配属実績
採用された人がどのような職種に配属されているか、実績の割合を公開しているかを確認しましょう。 - 技術習得後のキャリアパスの明示
社内でどのような教育の仕組みが整っているか、技能検定などの国家資格取得を支援する制度があるかを確認します。
未経験からの保全エンジニア就職に関するよくある質問
Q.文系出身や工場勤務の未経験者でもプロになれますか?
文系や未経験からでも、教育プログラムを通じて現場で必要な保全技術を積み重ねていくことができます。座学だけでなく、実際の工場と同じ構造の実機を使った訓練を積むことで、現場に早く慣れることができます。石川・福井・富山の3拠点(今後は愛知県にも拠点を拡大予定)にあるAOCテクニカルセンター(ATC)では、経験豊富な講師が未経験者の育成にあたっています。入社当初は戸惑うことがあっても、機械の構造や制御の基礎から学べます。
Q.地方の求人に応募する場合に生活費や引っ越し費用の負担はありますか?
生活家電(テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど)付きの個室寮(1R・1K)が用意されており、敷金・礼金不要で即日入居・就業に対応している案件もあります。
家賃が一般的な賃貸住宅より安く抑えられる傾向があり、経済的な負担を抑えて新生活を始められます。東京23区に5年以上在住、または東京圏から通勤していた求職者が北陸地方にUIターンし、条件を満たす求人に新たに就業した場合、国や自治体から移住支援金を受け取れる制度もあります。
地方都市は首都圏に比べて家賃水準や生活費が低い傾向にあります。
Q.夜勤やシフト勤務がある場合の給与や手当の仕組みはどうなっていますか?
労働基準法に基づき、22時から翌5時までの勤務には25%以上の割増賃金が支払われます。深夜労働が時間外労働や休日出勤と重複する場合は、それぞれの条件に応じた法定割増率が加算されます。
【関連リンク】
機械修理で手に職をつける方法と将来性!未経験から技術者になる手順

